2025年6月19日(木)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2025年5月28日

 魚が減って漁獲量が減り続ける日本の海。国は「国際的に見て遜色がない資源管理システムの導入」を目指しています。しかしながら資源管理に関する社会の理解が進まず、まだ有効な手立てが打てていません。

サンマの漁獲量減少は黒潮大蛇行の影響なのか?(lemacpro/gettyimages)

 「魚が消えて行く本当の理由」、それは国際的な視点やデータから考察すると「科学的根拠に基づく資源管理」ができていないことが主な理由であることがわかります。

 前提が間違っていれば効果がある対策が打てるはずはありません。その前提の一つによく挙げられるのが「黒潮大蛇行の影響」です。

 もちろん海藻や沿岸漁業など水深が浅い海域は影響を受けています。しかしながらもっと広い視野で日本の海を俯瞰して見ると、別の要因がはっきりと見えてきます。

 黒潮大蛇行は2017年から7年9カ月という過去最長記録を残し、今年(25年)5月に解消したのではないかと報道されています。気象庁は3カ月ほど様子をみて判断するようです。

 このままでは、時間の経過と共に「これまでの資源管理は何だったのか!」と失敗に気づくことになります。すでにスルメイカ、イカナゴ、シシャモ、ハタハタをはじめ手遅れに近い水産物が年々増えています。しかし時計の針は元に戻りません。

 黒潮大蛇行とは、大きく蛇行する現象です。黒潮と太平洋側の本州南岸に大きな冷水塊が滞留して、反時計回りの冷水塊に巻き込まれた黒潮の一部が流れ込んでいます。

 関東や東海地方の沿岸では水温が上がり潮位が高くなることがあります。このため台風や低気圧の影響で高潮や低い土地の浸水などの被害が起こりやすくなります。

 魚が獲れない原因として「黒潮大蛇行」がしばしば出てきます。魚が消えていく理由を環境要因に責任転嫁するのに便利な言葉です。

 もちろん影響が全くないと言っているわけではありません。しかし黒潮大蛇行が起きている海域ではなく、もっと広い視野で日本の海の周りを眺めると、黒潮大蛇行の影響と漁獲量の関係で様々な矛盾が浮き出てきます。

 漁獲量の減少が著しいサンマの主力漁場である公海や、スルメイカの主力漁場の一つである日本海といった漁場は、直接影響を受けている海域からかなり離れています。


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