2026年5月3日(日)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2026年5月3日

 一方、自衛隊に韓国の国軍外傷センターに相当する戦傷専門機関は存在しない。ただし、防衛医科大学校病院(埼玉県所沢市)の救急部に「外傷・熱傷・事態対処医療センター」が24年4月に設置された。

 診療科の縦割りを排した多科複合診療体制と、受傷から社会復帰までのシームレスな医療の提供を目的とするものだが、救命救急センター内の組織であり、韓国のような独立した専用施設とは異なる。有事における軍専用の外傷対応体制の整備は、今後の課題として残されている。

韓国軍の外傷患者処置訓練(提供:国防部)

部隊の図書館がお洒落なカフェに改装!?

 韓国軍が「片手に銃、片手に本」と銘打った兵営読書活性化プロジェクトを本格始動させた。背景には、兵士の大半を占めるMZ世代の活字離れがある。

 MZ世代とは、80年代から90年代半ばに生まれたミレニアル世代と、90年代後半から2000年代初頭生まれのZ世代を合わせた韓国独自の呼称で、デジタルネイティブとして育った若者層を指す。スマートフォンやSNSに慣れ親しんだ彼らは、動画や短文コンテンツを好み、まとまった文章を読み続けることへの抵抗感が強い。加えて受験偏重の教育環境が読書習慣の形成を妨げ、老朽化した兵営図書館も意欲を削ぐ一因となってきた。

 毎年20万人ほど入隊する韓国軍にとって、兵役期間を「人生の空白」ではなく「知的飛躍の時間」に転換することが、このプロジェクトの核心にある。

 目標は、強靭な訓練と読書を両立させる「文武兼備の精鋭」の育成だ。プロジェクトは入隊から除隊まで三段階で進む。

 入隊時に自分の「人生の一冊」を持参させ、読書感想文を提出すれば外出1日分の褒賞を与える。配属後はコーヒーマシンや冷蔵庫を備えた複合文化空間へと改装された全国1685カ所の大隊級図書館で、階級ごとに推奨冊数を設けて10冊以上の読書を促す。

 安圭伯国防部長官自らが指揮官向けの読書講演を担い、高級将校を対象とする既存の教育課程に読書コーチング教育を組み込む。「読書の『読』には、毒になるほど読め、という意味がある」という長官の言葉が、この運動の性格を象徴している。

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