インド側からの視点でも、日本は一貫してインドにとって最大のODA供与国です。インフラ・交通・エネルギー分野を中心に支援を拡大しています。2015年まではかつての宗主国であったイギリスが日本に続いて第2位のODA供与国でしたが、インドの経済発展を理由に額を削減し開発投資に移ってきています。近年の第2、第3位はドイツとフランスという順です。アメリカやその他の国は技術協力・プロジェクト支援を中心にODAを提供していますが、総額は比較的小規模に留まっています。
採算度外視インフラ偏重中国と、計画性グダグダなインド
2025年1月に中国国家鉄路集団有限公司が公表した最新データによれば、中国の高速鉄道(新幹線のようなもの)の総延長距離は4万8000キロメートルに達しています。
インドでは高速鉄道の運用はまさにこれからという段階であり、2020年代に総延長距離500~1000キロメートル、2030年代にさらに数千キロメートルとされておりますが、計画上も資金調達スキーム上も若干不透明なところがあります。インドの鉄道管轄当局は2047年までに時速250キロメートルの高速鉄道網を7000キロメートル整備することを目指していると公言していますが、20年以上先のことですから政権交代でどうなるか分かりません。仮に2047年に7000キロメートルプラスアルファに達しても、現時点の中国の総延長距離の十数%程度です。
中国のサイコパスなほどのインフラ偏重っぷりも採算度外視な無駄投資が発生しているので経済学的には素直に好評価できないわけではありますが、インドの計画性のグダグダさもやはり問題でしょう。経済性はともかく、少なくとも高速鉄道インフラは中国が圧倒的に先行しており、インドが20年経っても追いつくのは難しいほどの差が生まれています。
話は横道にそれますが、ちょいと前に終了した日本から中国へのODAでは(2018年度に新規採択終了、2021年度末に全事業終了)、戦後賠償ではなく経済協力であるという日中両国の公式見解を前提にしますので、日中関係が険悪になるに従って「これだけ日本は中国のために尽くしたのに、恩を仇で返すようなものだ。中国側の日本に対する感謝が足りない」「中国政府が中国人民に対して、反日教育と矛盾するから日本のODA実績を意図的に隠している」などと日本国内でしばしば語られ、日本人に不満が溜まることになりました。
残念ながら、経済成長した後にますます日本に対して粗暴な態度をとるようになった中国については、我々日本側世論が、そのような批判をしたところで後の祭りでした。これから成長していくインドに対して同じ轍を踏んではなりません。
相手国に対しての支援は何かを供与して終わりではなく、見返りのあるなしにかかわらず、しっかりと「相手国の国民に、日本からの支援があったということを周知させようとする相手国政府の真摯な態度」を適宜チェックし要求していくことは重要なはずです。
我々日本人は「過度な謙虚さ」と「スジ論の拘泥」という、ときに相反した二面性を持ち合わせますが、とりわけ外交シーンにおいて過度に謙虚になることはなく、支援したことに対して自然なマイルド感謝を求めるというヒューマニティに基づいたスジを通すべきでしょう。個人的にはこれが悪い精神とは思いません。
