最後に、この戦争は、中国に新たな機会を生み出すだろう。湾岸諸国やイランは、巨額の復興投資を必要とし、ホルムズ海峡封鎖を懸念する多くの国々は、中国製のグリーン技術、太陽光、風力、バッテリー等の製品を購入したがるはずだ。
これらの分野はいずれも生産能力過剰の状態にある。態度が頻繁に変わる米国に比べ、中国の冷徹な国益追求という姿勢は、少なくとも信頼に足るものだ。
中国はまた、イラン問題で弱体化したトランプとは交渉がしやすくなるかもしれない。5 月に北京で行われる首脳会談で、中国は、米国の関税や輸出規制を抑制し、場合によっては米国における中国投資に関する土台を築きたいと考えている。中国にとって理想的なのは、トランプが「米国は台湾の独立に反対し、平和的統一を支持する」と表明することだ。
中国の現実主義的分析にも戦略上の盲点が1つある。中国は西側の価値観を批判するのが好きだが、実際には米国が維持してきたルールのもとで繁栄を遂げてきた。不安定な世界は中国にとっても必ずしも居心地の良いものではない。
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事態を見守るだけで良い中国
この社説は、トランプのイラン戦争を中国がどう見ているかを中国高官等への直接の取材結果により分析しているもので、イラン戦争後の世界における米中関係や中国の役割を考える上で参考となる。
トランプの過激な恫喝に対し、徹底抗戦の姿勢を示してきたイランが、4月8日早朝(米国東部時間7日夜)、2週間の停戦に応じ、4月11日からパキスタンで交渉が始まり翌12日には合意に至らなかったことが判明した。よって、停戦が維持されるかは予断を許さず、依然として米国は相当長期的にイラン問題の泥沼から抜け出せなくなる可能性がある。
中国は、米国が間違いを犯し、イランとの戦争で中東から手を引けなくなり、その国力がさらに衰退し、東アジアに手が回らなくなることを期待している。地政学的には、中国は漁夫の利を得て、事態の推移を見守るだけで良いわけだ。
