2026年4月17日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年4月17日

 フィリップ・ゴードン(元ハリス副大統領の安全保障補佐官)が、トランプ大統領によるイラン攻撃を念頭に、過去の中東におけるレジーム・チェンジの企ては失敗に終わっていると論ずる一文を2026年3月5日付 Economist に寄稿している。

(ActiveMedia/gettyimages・dvids)

 トランプはイラン国民に「諸君の自由は手の届くところにある」と約束しているが、以前にも見たことのある情景である。トランプは過去の米大統領の多くの足跡を辿っている。米国の軍事力を使って脅威ある中東の政権を取り除きましな政権に置き換えることが可能だとの誘惑に屈したのだ。

 中東における過去のレジーム・チェンジ作戦には共通点がある。それは望んだ結果をもたらすことに失敗したことである。

 1950 年代以来、イラン、アフガニスタン、イラク、エジプト、シリアのような中東で、米国は何度も政権を追放することを試みて来た。クーデターの支援ないし反対派への武器の供与、空軍力の使用、全面的な侵攻と占領等がその手法である。しかし、戦術は異なっても、常に脅威を誇張し、政権を取り除くコストと障害を過小評価し、過早に勝利を宣言し、意図せざる結果を予想することを怠り、究極的には巨大な人的・財政的コストを負う破目に陥る。

 レジーム・チェンジに失敗した典型は、03年のイラク戦争である。民主主義、安定、繁栄の確信ある予測に反して、紛争は10年近く続き、その多くの期間一日当たり 3 億ドルを費やし、米国とイラクの数千の人命の喪失となった。

 トランプは、そのような長く高くつく作戦は避け、イランの安定を確保するために米国による占領を考えている様子はない。イランのクルドを秘密裏に武器で支援することをトランプが検討していると報じられているが、それは戦後のイランに安定をもたらす処方箋ではあり得ず、その反対となろう。

 過去例のもう一つの共通点は勝利を過早に宣言する傾向である。03年にイラクに侵攻した6 週間後、イラクが恐ろしい暴力に陥るのを見ないままジョージ・ブッシュは「使命達成」を宣言した。アフガニスタンでは、歴代の米国の指導者が戦争は「曲がり角を過ぎた」と言って来たが、遂に敗北を受け入れることになった。


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