それ故に、彼はイランの一般大衆が政権に対して立ち上がることに期待したということかと思われる。ただ、根拠のない過剰な楽観ないし無謀な希望だったことはこの論説が指摘している。
3月23日、トランプは、過去の指導者はすべて死亡し、我々のチームは「非常に分別のある信頼できる」新しい人達と接触していることを指摘して「自動的なレジーム・チェンジだ」と述べた。24日には、既に戦争に勝ち、レジーム・チェンジを達成したと述べ、「我々は正しい指導者達に話しているが、彼らは非常に取引をしたがっている」とも述べた。トランプはレジーム・チェンジの達成を誇りつつ、交渉による戦争終結に動き出したように見えた。
しかし、イランは、ハメネイ他多数が殺害され顔触れは変わっても、政権の体制が亀裂を生じ揺らぐ兆候はなく、何ら変化がない。トランプがレジーム・チェンジは達成されたと思っているのであれば、それはそれで構わないが、ベネズエラの場合のロドリゲスのような息のかかった人物を指導者に据えることもできなかった。今後交渉相手ともなり得る実力者はラリジャニ(安全保障評議会事務局長)ではなかったかとの憶測が一部にあったようだが、そのラリジャニをイスラエルが空爆で殺害した。
空爆でレジーム・チェンジはできない
この戦争を始めたのは米国とイスラエルであり、戦争を止める責任は両国にある。しかし、米国とイランの交渉は、その正体が判然としない上、両国の立場の懸隔は甚だしく、先行きは見通せない。むしろ、トランプは彼のいうレジーム・チェンジの達成をもって勝利を宣言し、この無謀な戦争を早急かつ一方的に終結させることが賢明と思われる。
ネタニヤフは要人の殺害が政権の崩壊を導くと見て、折角のこの機会を逃さずなお攻撃続行を意図しているようであるが、空爆でレジーム・チェンジはできない。トランプはネタニヤフを抑え込めるかを問われる場面が来るかも知れない。
