2026年4月17日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年4月17日

 悪い政権を取り除くよりも、より良い政権を据えることが難しい理由には何の不思議もない。政権を取り除くことによって政治と安全の空白が生まれるが、それを埋めるのは難しい。

 反体制派は、政権を取り除く目標で結束していても政権が倒れると分裂し、人々は不安に駆られ安全を求めて政治的あるいは宗派的連帯のネットワークを頼る。そのような場合、往々にして結果は内戦で、時には近隣諸国の介入によって煽られ、もし勝者があるとすれば、それは最も多くの銃を持ちそれを使う用意がある人々になる。

 今回は違うのだと信じられれば素晴らしい。しかし、イランは人口9000万の国であり、民族的、イデオロギー的、政治的に深く分断されている。反体制派はひどく分裂し、明確な指導者を欠き、大体において武器を持たない。他方、政権は残忍で十分武装した窮地に立つ男達でいっぱいである。

 我々はこのひどいイランの政権が倒れ、寛容で有能な政権にとって代わられることを希望すべきである。しかし、希望は政策の健全な基礎とはならない。中東における深い歴史的な教訓に逆らうことができると考え、議会の承認あるいは国民一般の顕著な支持のないまま戦争を仕掛けることによって、トランプは自身の大統領職だけでなく数知れないアメリカ人、イラン人その他の生命を不必要なギャンブルに賭けている。

* * *

外れた当初の目論見

 この論説は、イラン戦争の始まりからほどない時点で書かれたものであるが、軍事力を利用したレジーム・チェンジを中東で目標とすることが間違いであることを過去の失敗に言及しつつ説いている。

 確かに、トランプはレジーム・チェンジを当初目標としていたようである。2月28日、彼が開戦を告げた時、彼はイラン国民が彼等の国を取り戻す「たった一つの最大のチャンス」だと述べた。最初の攻撃でハメネイを殺害した後、「自分の望みはイラン国民の自由がすべてだ」とも述べた。3月 1日には、「アメリカは諸君とともにある。諸君には約束をしたが、その約束は果たした。あとは諸君次第だが、我々は助ける」と述べた。

 トランプはレジーム・チェンジを掲げつつも、イラクやアフガニスタンの教訓に学び、イラン国内の混乱の泥沼に立往生することは避けるつもりだったと見てよいであろう。米国第一主義に反し、支持基盤のMAGA=Make America Great Again(再び偉大なアメリカを)の支持を失うことに通じる。


新着記事

»もっと見る