また、同テレビ局キャスターのマット・ウォルシュ氏も、攻撃開始直後、マルコ・ルビオ国務長官が米議会指導者たちに行った背景説明の中で「トランプ大統領が攻撃を命じたわけではない。大統領はイスラエルの攻撃を事前に知っていて、中東地域の米軍基地がイラン側から報復攻撃されることを心配していた。米軍が先制的に攻撃に出なかったとしたら、わが方が受ける被害はさらに大きくなっていただろう」と語ったことを受け、SNS番組の中で「ルビオは、イスラエルに尻を押されて戦争に踏み切ったと言ったも同然だが、そうだとしたらとんでもないことだ」とコメントした。
もう一つの亀裂要因
これに対し、大統領はとくに、カールソン、ケリー両氏の論評について、自信のSNSで「二人が言っていることは、わが支持層の声を代弁したものではない。MAGAとはTrumpであり、それ以外が代表者ではない」と反論した。
しかし、保守派の有力者ランド・ポール上院議員(ケンタッキー州)は「そもそも米国民はイラン攻撃に投票したわけではない。戦争権限は国民の代表である連邦議会にあることを憲法は明記している」としてこれを論駁した。
先鋭的MAGA推進者で知られるマジョリー・テイラー・グリーン前下院議員も「イラン攻撃には怒りを禁じえない。MAGAとはそもそも、アメリカ・ファーストのことであり、イスラエル・ファーストであってはならない」とトランプ批判の狼煙を挙げた。
今のところ、大統領の反論通り、こうした一部著名人の発言でMAGA地盤が大きく揺らいでいるわけではない。
米議会でも、今月初め、イラン攻撃に強く反対する民主党議員団から大統領戦争権限に歯止めをかける決議案が緊急提出されたが、共和党が多数を占める上下両院で否決し、大統領への忠誠を示した。他の保守系メディアの著名評論家たちも、大統領の戦争政策への支持を表明している。
しかし、カールソン氏を筆頭とする新たな保守思想家たちの動きに焦点を当てた著書を出版した作家ジェイソン・ゼンガール氏は、AP通信記者に対し、「現段階では、トランプ批判はMAGAの主流になってはいない。しかし、今回のイラン戦争が米政権の思惑通りに行かなかったり、長引いたりした場合は、保守支持層の間で一層対立が深まり、さらにはトランプ大統領退任後に、MAGAそのものの本質的論議に発展することになろう」と語っている。
保守メディア間での結束の乱れについては最近、児童虐待容疑で罪に問われ獄中で死亡した富豪ジェフリー・エプシュタイン氏の残した「交際記録」の扱いをめぐっても、以前に交際があったトランプ大統領が当初、関連文書公開を渋ったことから、一時保守派の間で「隠蔽だ」として批判が渦巻いていた。
そして、今回のイラン攻撃でMAGA基盤の”地割れ“がさらに表明化したことになる。
世論調査に見える米国民の姿勢
11月中間選挙を控えトランプ政権にとって当面の最大関心事は、今回のイラン戦争に対する国民の反応だが、先制攻撃後に公表された各メディアの最新世論調査はいずれも以下の通り、「不支持」が「支持」を大きく上回っている。
上記の世論調査結果のうち、NBCが対象者を党派別に分けて調査したところ、「共和党支持者」の間では、イラン攻撃への賛同者は77%だったが、反対も15%に達していることが分かった。また、同調査では「MAGA信奉者以外の共和党支持者」のうち、36%が「戦争反対」と回答しており、共和党の戦争支持が一枚岩ではないことを示している。

