欧州委員会は、「EU加盟国が化石燃料の輸入のために支払う費用は、イラン戦争の勃発後の市場価格の高騰のために、240億ユーロ(4兆4640億円)も増えた」として、今後は輸入化石燃料への依存度を減らす方針だ。具体的には製造業や交通、暖房の電化をこれまで以上に促進する。
第二次世界大戦後最悪のエネルギー危機
欧州では現在の事態が、1970年代の石油ショックを上回る、第二次世界大戦後最悪のエネルギー危機に発展し得るという意見が有力だ。国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は3月20日、「イラン戦争は原油供給の歴史において、最大の危機を引き起こしている。早急な解決策はなく、今後世界のエネルギー市場と世界経済への影響は深刻化する」と警告した。彼は「多くの国の政治家が、危機の深刻さを理解していない」と不満を漏らした。
ビロル氏は世界各国に対し、石油消費量を減らすよう勧告した。具体的には、ホーム・オフィスの奨励、高速道路の制限速度を少なくとも時速10キロ減らすこと、公共交通機関の利用促進、カーシェアリングの強化、旅客機の使用を減らすことなどを求めた。
欧州委員会でエネルギー問題を担当するダン・ヨルゲンセン委員も3月30日、「戦闘が停止しても、エネルギー供給は、当分の間正常な状態に戻らない」としてEU加盟国にIEAの勧告を実行するよう求めた。
国際機関のこうした警告を聞くと、ドイツなどEU加盟国政府がいずれは国民や企業に対して、燃料節約を呼びかけざるを得ないという印象を持つ。欧州にとって危機の山場は、暖房のための灯油や天然ガスの需要が増える今年秋以降だ。
ドイツの家庭のほぼ7割が暖房のエネルギー源として天然ガスか灯油を使っている。このため欧州の政治家たちは、ホルムズ海峡をめぐる状態が一刻も早く鎮静化することを望んでいるに違いない。
