<好評3刷>(2011年10月)
科学の発展は「合理性」や「法則性」を追求した結果の、その連続のもとに成立している。かつて世の物事はすべて「神」の視点から語られていたが、科学者たちがその「神の業」を解き明かすべく自然や現実世界を観察・実験を重ねるほど、「創造主の存在」という世界観からは離れていくことになった。これが「近代科学」発展の礎である。
一方、約2500年前に釈迦が創始した仏教は、現代の日本人が日常接している仏教とは様相を異にし、“絶対者”の存在を認めず、自己の精神的鍛錬で煩悩に打克って涅槃に到達することを目的としたもので、その合理性・法則性に沿う方法は、科学的思考と親和性がある。 本書は、「科学と宗教」という二つの世界観において、その類似点と相違点について、生物学者:斎藤成也氏と仏教学者:佐々木閑氏がそれぞれの知見から考察するものである。