白隠慧鶴(はくいんえかく)禅師は日本臨済禅中興の祖として、もっとも著名かつ重要な宗教家です。白隠はおびただしい数の禅画を残していますが、白隠の禅画にはきわめて複雑な仕掛けがあるため、一見「わけのわからない画」のように見えるものがあり、解釈が難しいとされてきました。その理由は、白隠の画は不特定多数の一般人のためではなく、白隠の元で修行をしている人間が一層の理解を得る助けとするためだったからなのです。とはいえ、興味をそそられ、感動を覚えるような画も白隠は数多く描いています。さまざまな手法を駆使して描き表された白隠の画は、法(おしえ)を説いて人々を救済していく菩薩心の発露に他なりません。
そこで、近年画期的な白隠研究書を刊行している禅学・禅宗史研究者の芳澤先生に、白隠の事跡や著作、時代背景を丹念に検証していただいたうえで、多くの作品を読み解いていただきます。わかりやすい解説に加え、カラーページも多い造りのため、白隠初心者におすすめの一冊です。