「安南王国」の夢

ベトナム独立を支援した日本人

牧 久
電子版あり
「安南王国」の夢
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「安南王国」の夢
ベトナム独立を支援した日本人
牧 久

戦争と革命、夢と挫折―― 百年にわたる日越交流の秘史。 明治45年1月、一人の少年が故郷・天草から船でベトナムへ旅立った。その6年前、ベトナム王朝末裔の青年が故郷を脱出し、日本へ密航する。二人はやがて一つの目的のため、海を挟んだ異国の地で起ち上がる。ベトナム独立という見果てぬ夢をめざして――。

定価:2,640円(税込み)
四六判上製、484頁
発売日:2012年 2月20日
ISBN:978-4-86310-094-7
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<好評2刷>(2012年6月)

明治45年1月、一人の少年が故郷・天草から船でベトナムへ旅立った。ベトナムは当時フランスの植民地(仏領インドシナ)で、「一旗あげて帰ってくる」との大志どおり、彼は苦難の末、かの地で商社「大南公司」を創業する。だが彼、松下光廣の大志は商売で大儲けすることではなく、被支配の苦境にあえぐベトナム人民を支援して、ベトナム独立を勝ち取ることへと変貌していた。
一方、ベトナム独立を志す革命家ファン・ボイ・チャウはグエン朝の末裔クオン・デ侯を擁立して、日本へと密航する。彼らを日本で支援したのは犬養毅、大隈重信、大川周明、頭山満らの面々だった。
時は太平洋戦争開戦の直前、日本軍の仏領インドシナ進駐に乗じてフランス軍と一戦をまじえ、独立を達成しようとするクオン・デたち。だが日本の軍隊はフランス軍との戦いを回避して撤退。ベトナムの復国同盟軍はあえなく敗退することとなった。そして、終戦間際の昭和20年3月、日本軍は「仏印処理」の名目でフランス総督府に対し、クーデター「明号作戦」を決行する。松下光廣や大川周明の門下生たちは日本軍に合流し、仏領インドシナはフランスの長いくびきを脱して一瞬の独立を果たす。だが、独立したベトナムの王に日本軍が推挙したのはクオン・デではなく、フランスの傀儡・バオダイ帝だった(やがて、日本の敗戦によってベトナムは再びフランスの支配下となる)。
「安南の王子」クオン・デは祖国復帰の願いを抱いたまま、昭和26年、さびしく東京で客死する――。

著者プロフィール
牧 久 (まき ひさし)
ジャーナリスト

ジャーナリスト。1941年、大分県生れ。64年、早稲田大学第一政治経済学部政治学科卒業。同年、日本経済新聞社に入社。東京本社編集局社会部に配属。サイゴン・シンガポール特派員。名古屋支社報道部次長、東京本社社会部次長を経て、89年、東京・社会部長。その後、人事局長、取締役総務局長、常務労務・総務・製作担当。専務取締役、代表取締役副社長を経て2005年、テレビ大阪会長。現在、日本経済新聞社客員。著書に『サイゴンの火焰樹――もうひとつのベトナム戦争』『特務機関長 許斐氏利――風淅瀝として流水寒し』(各小社刊)がある。

■■■ 出版記念特別インタビュー ■■■
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