小泉元首相を回想するブッシュ夫人

ホワイトハウスで何が起きているか


森川聡一(もりかわ・そういち)
ITバブル期にニューヨークに住んだ経験を持つ経済ジャーナリスト

ベストセラーで読むアメリカ

ベストセラーを見れば世相がわかる--知っているようで知らないアメリカの実相を知ることは、日本を考えることに欠かせない。

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■今回の一冊■
SPOKEN FROM THE HEART
  筆者Laura Bush, 出版社Scribner, $30.00

 ローラ・ブッシュ前米大統領夫人の回顧録だ。テキサス州の何もない田舎町で暮らした幼少期からホワイトハウスでの日々までを振り返る。政治好きのアメリカ人にはたまらない本だ。ニューヨーク・タイムズ紙の週間ベストセラーリスト(ウエブ版5月13日付)の単行本ノンフィクション部門で、発売してすぐにトップで初登場。そのまま4週連続でトップの座を守り、7月末まで12週連続でトップ15に入った。

 どうしても無味乾燥な記述が続くホワイトハウス時代の回想部分で、ひときわ際立つのが小泉純一郎元首相との交流を描いた部分だ。2003年5月に、ブッシュ米大統領(当時)がテキサス州クロフォードの私邸兼牧場に、小泉首相(当時)を招いて歓待したことを回想する一節は次のように書き起こす。

 On May 22, the Japanese prime minister, Junichiro Koizumi, came to visit us at the ranch. Koizumi had been one of the first world leaders to offer aid and assistance to the United States after 9-11, and he and George developed a close friendship. It was all the more remarkable because their two fathers had fought against each other in World War Ⅱ. (p291)

 「5月22日、日本の小泉純一郎首相が、我が家の牧場に来てくれた。小泉首相は世界のリーダーの中でも、9・11テロの後に真っ先にアメリカへ支援の手をさしのべてくれた指導者たちの1人で、ジョージとは親密な関係にあった。2人の父親が第2次世界大戦で互いに戦ったことを思えば、すごいことです」

あの“エルビス・プレスリー”のいきさつ

 アメリカの対テロ戦争に真っ先に賛同してくれた日本のリーダーとして高く評価している。ブッシュ夫妻にとってはそうなのだろうが、後世の歴史家はどう評価するだろうか。アメリカ人にとってはやはり、日本は第2次世界大戦で戦った敵国だという認識が根強いことも読み取れて非常に興味深い。

 小泉首相との会話を紹介する次の一節はほほ笑ましい。

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