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2011年1月18日

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宮田徹也 (みやた・てつや)

1970年横浜生まれ。横浜国立大学大学院教育学研究科芸術系教育専攻修士課程修了。東京文化財研究所美術部、ZAIM、横浜デザイン学院非常勤講師を経て、美術評論活動を展開中。主な連載は、批評の庭、アートアクセス、てんぴょう、ヒグマ春夫、その他多数(ウェブ)、「音楽舞踊新聞」「テルプシコール通信」「コルプス」「新かながわ新聞」(紙)など。「コルプス」は編集委員、「代々木通信」は編集長を担当。

 丸の内に梅が咲く…! ―とはいっても、絵の中の話。今、出光美術館で「酒井抱一生誕250年 琳派芸術 ―光悦・宗達から江戸琳派―」展が開催中だ。咲き乱れているのは梅だけではない。6月のカキツバタ、秋の月、四季の自然が密かに佇んでいる。これは地球温暖化によるものではない。たかが絵じゃないか―。その通り、しかもそれらは総て200~400年前の姿である。その様子を現代に垣間見る。しかし、もしかしたら自分が歳をとっても再びこの絵にめぐり合えるのではないか―。それが美術の魅力でもある。

風神雷神図屏風 酒井抱一 江戸時代 出光美術館   言わずと知れた、酒井抱一の代表作 *第1部に展示

 京都・琳派の創立者である本阿弥光悦(ほんあみ こうえつ/1558~1637)、俵屋宗達(たわらや そうたつ/生没年未詳)、二人を私淑する尾形光琳(おがた こうりん/1658~1716)、弟の尾形乾山(おがた けんざん/1663~1743)、琳派を江戸で再興した酒井抱一(さかい ほういつ/1761~1828)、抱一の高弟鈴木其一(すずき きいつ/1796~1858)らによる名品がずらりと並ぶ。大坂夏の陣で豊臣家が滅び去り、江戸期が始まるのが1615年であることを思い出せば、時代が変化する波に乗った当時の情景が浮かぶであろう。

私淑で広がる琳派 

 琳派の魅力について、出光美術館学芸員・宗像晋作(むなかた しんさく)さんに話を聞いた。「徒弟制である他の「派」と異なり、私淑し、必ずその人から一歩進んで個性を出す、自由で楽しいのが琳派です。そのため、多面体のようにどこから光を当てても魅力が引き出されるのです」。

 私淑。直接に教えを受けなくとも密かにその人を師として仰ぎ模範して学ぶこと。だから光悦、光琳、抱一の間に100年もの時の流れがあるのか。年齢不詳の宗達と光悦の関係は? 「同世代ですが、光悦が先輩だと考えられています。光悦は時代をリードするディレクターでした。光悦が宗達を見出したのです。そして二人は、平安時代に発生した優雅な王朝の美を復活させたのです。それはまさに近世の幕開けでした」。

 この展覧会は、前期と後期で作品を替える。現在行われているのは、第1部〈煌めく金の世界〉。光悦・宗達から光琳までの時代を特集し、最大のみどころは「2章 金屏風の競演―伊年印草花図屏風」で、豪華絢爛な金屏風が多く並んでいる。2月11日から始まる第2部は〈転生する美の世界〉と題され、酒井抱一と鈴木其一の作品が中心で、銀屏風が目玉だ。

草花図襖 「伊年」印 江戸時代 京都国立博物館 *第1部に展示

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