東北地方を中心に甚大な被害を与えた東北地方太平洋沖地震。自動車業界は東北地区に立地しているトヨタ自動車系列の車体メーカー、関東自動車工業岩手工場やセントラル自動車宮城本社工場、日産自動車のいわき工場、栃木工場、ホンダの栃木研究所など一部を除いて、生産設備などに対する被害はほとんどなかった。ただメーカー各社とも部品調達の問題や物流網に対する懸念などから、3月16日現在では生産活動はほぼ完全にストップしている。
操業の再開について各社とも東北地区に立地している一部工場を除いて、「週明けの21日から再開したい」(業界筋)ようだが、電力や水道などインフラ回復状況、部品のスムーズな調達ができるかなどの問題もあって現状では不透明感が強い。
ただ、こうした中、業界では新車発表の延期、中期経営計画の延期などイベントの中止・延期が相次いでいる。ホンダは17日に発表し、18日から全国一斉に予定していた新型車『フィットシャトル』の発売を延期した。工場の操業ストップに伴う生産の遅れや物流網の寸断による全国ディーラーへの配車がスムーズに進まないための措置だ。
また三菱ふそうトラック・バスも15日に発表する予定だった大型トラックの『スーパーグレード』トラクターシリーズのセミトラクターの販売を延期した。
さらにイベント関係では日産が東京・銀座など全国5ヵ所に展開するギャラリーを18日までに臨時休館している。電力不足に対応した節電協力が狙いだ。また富士重工業も24日に予定していた中期経営計画発表の延期や5月中にも実施する計画だった恒例の全国優秀営業マンの表彰も中止する方向だ。
一方、16日は今春闘の集中回答日。各社の回答状況をみると、トヨタはいち早く満額回答したものの、日産、ホンダの両社は交渉を中断、延期した。「震災によるユーザー、取引先に対する影響が大きく、当社に対する影響も読みづらい」(ホンダ関係者)というのが理由だ。また三菱自動車も回答を1回延長、今後の影響などについて引き続き労使交渉を行うことになった。
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