WEDGE REPORT

2011年3月26日

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 3月11日の東日本大震災以降、ツイッターを中心とするソーシャルメディアが果たした役割はあまりに大きい。震災直後の被災地では安否確認や救助要請に使われ、交通機関が完全に麻痺した都心でも帰宅難民が交通情報を得る手段となった。また、原発の事故によって引き起こされた被曝リスクに対しては、政府・東電の情報開示が後手に回り、新聞やテレビなどの既存メディアが危機感を煽るなか、専門知識を持った有識者がツイッターで継続的に冷静な情報提供を行うことで、ともすればパニックに陥りかねない状況を沈静化した側面もある。しかし一方で、デマが大量に流れたことも事実である。今回の震災を機に、ツイッターはその有用性を証明するとともに、災害時における利用についてはその課題も浮き彫りとなった。この特集では、ツイッターを中心とするソーシャルメディアが果たした役割を検証するとともに、今後の有効的な活用法について探りたい。

 震災直後から、ツイッターを利用する著名人のもとには、安否確認や救助要請の情報拡散を求める声が津波のように押し寄せた。とくに救助要請のツイートには、今そこで人の命が危険に晒されている、という緊迫感があった。

140文字に込められた悲痛な叫び

 「○○さん、拡散お願いします!○○県○○市○○で、今、取り残されています。救助要請をお願いします!」

 「○○さん、拡散お願いします!○○県○○市の○○避難所ですが、水・食糧が不足しており、餓死寸前です。支給、救援物資の要請をお願いします!」

 「拡散」を託された著名人たちは、RT(リツイート)という機能を使い、自分のつぶやきをフォローする数万人ものフォロワーに向け、立て続けに拡散する。秒単位で更新されていくタイムラインから察するに、情報の真贋を見抜くよりも、緊急を要する情報を少しでも早く、少しでも多くの人に広めることを重視しているのが窺えた。影響力の大きい人が情報を拡散し、それを見たフォロワーが行政に救助要請を行うという連携プレーが、果たしてどれだけの人命救助に役立ったか検証するのは難しい。ただ、これによって救助された人がいたことも事実である。しかし、現場に居合わせていない私たちには、そんな緊迫感のある救助要請の中にデマが混じっていなかったと言いきれないのもまた事実だ。

すでに救出されたはずなのに…

 今回の震災では、ツイッターを使った救助要請にも関わったというITジャーナリストの林信行氏(@nobi)は言う。

 「デマの拡散を防ぐには、情報のソースを確認することが重要です。誰が、どこで、いつ発信したものか。今回の震災の教訓として、救助要請の拡散に非公式RTという機能を使うと、情報の発信元が不明確となり、時間軸まで狂ってしまうため、結果的に混乱が生じることがわかりました。既に救出されたはずの人の救助要請がいつまでも繰り返しつぶやかれている例をいくつも見かけたんです。救助要請のように緊急を要する場合はなかなか難しいと思いますが、発信者に対して、(ツイッターのメッセージ機能を使い)2つ3つインタビューするだけで大きく違ってきます。情報の確度を上げることで、行政への救助要請も出しやすくなるはずです」

*公式RTではもともとの情報発信者のアイコンが表示されるが、非公式RTではRTした人のアイコンに置き換わってしまうため、情報の発信源が特定しづらくなる。また、公式RTではもともとの情報発信者がツイートした時刻が表示されるが、非公式RTではRTした時刻が表示されるため、仮にそれが5時間前にツイートされた情報であっても、RTされた時刻が1分前だった場合、あたかもそれがリアルタイムで起きているように錯覚してしまう。(詳しくは、林信行氏の「公式RTのススメ」参照)

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