ネルソン・コラム From ワシントンD.C.

2011年4月16日

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クリス・ネルソン (Christpher Nelson)

政治ジャーナリスト

アメリカのシンクタンク「サミュエル・インターナショナル・アソシエイツ」所属。特に日本、中国・台湾、朝鮮半島問題に焦点を当てたアジア外交政策のコンサルタント。1970年より下院外交委アジア小委員会のスタッフや上院民主党政策委員会のアジア政策顧問などを歴任した経験により、議会のみならず米政権の内情に詳しい。現在は、外交政策や通商問題のインサイダー情報誌「The Nelson Report」発行。

 まず、米国にいる読者の皆さんの大勢の友人や同僚に代わって、お見舞いとお悔やみ、支援の意を述べさせて頂きたい。津波が最初に東北地方太平洋岸を襲い、今なお我々の関心を引いてやまない大惨事と破壊を引き起こして以来、日本に対する弔意や支援は途絶えることなく、日米関係、そして世界が日本をどう見ているかという日本の意識にとって大いに励みになるものだった。

 読者の皆さんやご家族が深刻な損失を逃れ、皆さん全員が精神的にも物質的にも、再生への道を歩み始めていることを心からお祈りしています!

 今月のコラムでは、津波と原発危機(危機は複数形)のいくつかの側面を見ていきたい。というのも、米国メディアの災害報道では、政府および民間の米国人から寄せられる気遣いや好意が盛んに取り上げられ、米軍と戦艦が引き続き行っている膨大な貢献に加え、今では数百万ドルに上る多額の義援金について報じているからだ。

日本は“パッシング”できないパートナー
政治的麻痺の改善を

 米国メディアの報道が今も、「良いニュースと悪いニュース」の典型例であることは疑いようがない。「良い」ニュースというのは間違いなく、日本の状況や、皆さん全員が今後数カ月、もしかしたら数年間にわたって直面する難題を忘れることが絶対不可能だということだ。

 このため、「ジャパンパッシング」が数年間続き、韓国が日本に取って代わり米国にとって「一番」の最重要同盟国になったという話が取り沙汰された末に、米国政府全体、メディア、国民が突如として、来る日も来る日も、米国の暮らしの多くの側面にとって日本が今もどれほど中心的な要素であるか、まざまざと見せつけられることになった。

 とはいえ、言うまでもなく、「韓国の台頭」という現象はある意味で続いている。米韓自由貿易協定(FTA)が近く議会に正式提案される一方、アナリストらは依然続く日本の政治の麻痺を嘆いているからだ。

 政治の麻痺のせいで、現在アジアで進行中の唯一の主要多国間貿易協定「環太平洋経済連携協定(TPP)」交渉に、日本の参加を「認める」だけの農業補助金改革が阻まれている。来月のコラムでは、TPPと日本の国内政治情勢について考えてみてもいいかもしれない。

 さて、原発報道に戻ろう。震災発生当初の数日間、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストをはじめとする主要日刊紙の報道は、津波が実際に岸を襲う凄まじいNHKの「ライブ」映像や死亡者数に関する憶測に終始していた。それがあっという間に、東京電力と原子力災害に関する驚くほど詳細な報道にシフトした様子には、まさに目を見張るものがあった。

 各紙は毎日毎日、大きな活字の「センセーショナルな見出し」を使った。電子媒体、特にCNNは絶えず「速報ニュース」や「最新の動き」を逐一流し、原発の状況を映すNHKの驚くような最新映像を頻繁に取り上げた。

 夜のニュースは、番組の時間枠をかなり割いて原発危機について報じた。通常はどんなニュースであれ、1つの話題に数秒、最大でも2~3分しか割かないことで知られるメディアが、である。

 もちろん、津波に関する報道、特に次々明らかになるヒューマンストーリーもたくさん続いたが、今でも、こうした記事は新聞の「中面」に掲載されている。1面は依然、原子力損害の食い止めに関する最新ニュースに割かれている。そこで、この問題について少し詳しく見ていこう。

ヒステリックなほど
“FUKUSHIMA”に反応する米国

 原発の状況に関する米国メディアの報道ですぐに目を引いたのは、こちらで目にする日本の報道よりもはるかに事態を憂慮し、「ヒステリック」とさえ言えるかもしれない姿勢だ。

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