定年バックパッカー海外放浪記

2018年8月16日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年生まれの62歳。横浜生まれ、神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

(2018.6.5~7.18) 44日間 総費用38万円〈航空券含む〉)

初夏の英国・アイルランド自転車旅行、滑り出しは上々

(VictorGrow/Gettyimages)

 2018年6月6日。自転車の積み込み料金が無料ということで、今回の旅では中国国際航空で北京からロンドンに飛んだ。午前7時にヒースロー空港を出発。天気は快晴。自転車に荷物を積み込んで、爽やかな追い風を受けて一路北上。計画ではニューキャッスルまで北上してから英国を一周して、フェリーでアイルランドに渡りアイルランドを周遊してからウェールズ経由で8月10日にロンドンに戻る予定であった。

 1時間も走ると緑豊かなロンドン郊外の自然が広がってきた。産業革命期に石炭や鉱石などを輸送するためにイギリス全土に掘られた運河が町と町を繋いでいる。運河沿いの自転車道路をまったりと進む。運河ではチャーターしたナローボート(narrow boat)の旅をのんびりと楽しむ人々に出会う。

ヒースロー空港近くの運河(クリーク)に浮かぶナローボート

 午後5時頃、ダンステイブルという小さな町に到着。5時でもサマータイムの英国では陽が高い。隣町までの近道を確認するため公園で缶ビールを飲んでいた男女5~6人の地元の若者に声を掛けた。近くの自動車道路を直進するのが分かりやすいとのアドバイスであった。

 しばらく公園を散策していると先ほどの若者グループの1人が自転車を押して近づいてきた。「自動車道路を直進するより、ショートカットできる道がある。自分の家が通り道なので案内するよ」と気さくに声をかけてきた。彼は身長180センチくらいの痩せ型でジョーと名乗った。頭は悪そうだが、人が好さそうな雰囲気だ。

“お人好し”は金をせびるや態度を豹変

 ジョーに付いて行くと次第に市街地から住宅地になった。歩きながら何度かジョーは携帯電話で誰かと連絡を取っていた。ジョー曰く「彼女からの電話だよ。住宅地の裏手の丘を越えると近道だ」と説明。丘を越える道は草が覆い茂る散歩道のようで人通りが少ない。

 草むらで周囲から見えない場所に入ると、ジョーは「案内料として10ポンド(=約1650円)欲しい」と切り出した。咄嗟に危険を感じた。ジョーの容貌は悪人の凶相に変わっていた。人通りが途絶えて人家が見えない死角に踏み込んでいる。おそらく10ポンド出せば財布ごと強奪する算段であろうと推測した。

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