WEDGE REPORT

2018年10月20日

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 沖縄は変わるのかーー。取材班は知事選を控える沖縄に入り、選挙戦の一大争点となっている普天間飛行場を抱える宜野湾市と、その移設先となる名護市辺野古を訪ねた。

 普天間飛行場を一望できる嘉数(かかず)高台の展望台に上ると、台風24号と選挙に備えているのか、オスプレイが整然と並ぶいつもの光景とは異なり、この日は一切の機体がない。辺野古移設が進めばこうした静かな日が続くのだろうが、これは一時の静寂である。

「世界一危険な飛行場」と称される普天間飛行場(Wedge)

 住まいが飛行場の目と鼻の先にある50代の男性に周辺を案内してもらう。昨年末に米軍ヘリから窓枠が落下した普天間第二小学校をはじめ、「世界一危険な飛行場」に食い込まれた住宅密集地をフェンス伝いに歩いて回る。男性は学校から溢れ出てくる小学生を見て「この子たちは今日もヘルメットも被らずに通学している。普天間返還が決まったSACO合意から22年も経つが飛行場は1ミリも動いていない。県は基地反対という大きな目標を掲げるばかりだが、足元の危険を一日でも早く取り除くためにできることからやっていくべきだ」と語気を強めた。

 選挙当日の朝、名護市辺野古の集落には断続的に強い雨が降り注いでいた。前日に本島を直撃した台風の吹き返しも徐々に勢いが弱まり、住民たちは表に出て家屋の修理や散乱した木々の後片付けを始めている。V字滑走路の埋め立て予定地を望める浜辺に降りてみると、反対派も活動拠点のテント村や抗議船に被害がないか確認にやってきていた。定期的に東京から通っているという女性は、「台風で護岸が壊れればよかったのに」と口にし、フェンスの向こうを恨めしそうに眺めている。

 普天間飛行場の代替施設は米軍キャンプ・シュワブとその沿岸水域に移設される。キャンプ・シュワブに隣接する辺野古、豊原、久志の「久辺(くべ)三区」の住民が投票する豊原地区会館を訪れた。ある人は杖をつき家族に付き添われながら、ある人は小さな子どもを抱えながら、停電で薄暗い投票場に入っていく。投票を終えた「渦中の有権者」ら20人ほどに話を聞いた。

 「子どもを辺野古で育てるので安全で静かな環境がいい」、「沖縄に米軍基地があることが当たり前という考え自体がおかしい」という受け入れ側の住民感情として当然の答えが返ってくる。一方で「どっちが勝っても一緒、どうせ何も変わらない」、「ごたごたを早く終わらせてほしい」と基地問題に翻弄されてきた境遇に嫌気がさしている様子も窺える。現役世代からは「雇用の改善」「経済や暮らし向上」といった経済への要望が目立つ。

 40代の女性は「情勢的に基地の全面撤去は難しいと思うので移設はやむを得ないと思う。(日米地位協定の見直しと基地縮小への賛否を問うた)県民投票から22年も経っており、そろそろ前に進めていく時期ではないのかな。交付金をうまく地域で活用してほしい。反対派は渋滞を引き起こすので本当に迷惑です」と声を潜めながら語った。

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