WEDGE REPORT

2018年10月25日

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児玉 博 (こだま・ひろし)

ジャーナリスト

1959年大分県生まれ。早稲田大学卒業。フリーランスジャーナリストとして、大手総合誌、ビジネス誌で活躍。著書に『日本株式会社の顧問弁護士 村瀬二郎の「二つの祖国」(文春新書)など。

 時間は午後10時近くになろうとしていた。沖縄・那覇市の繁華街、国際通り。この時間になっても人通りが絶えることはない。その半分以上は、中国人をはじめとするアジア系外国人で、欧米からの観光客も目立つ。

 昨年、沖縄はその観光客数(939万人)で初めてハワイ(938万人)を抜いた。しかし、観光地のインフラの成熟度を示す観光客の滞在日数(沖縄3・78日。ハワイ8・95日)は、ハワイの半分以下、消費金額も沖縄のおよそ8万円に比べ、ハワイは倍以上の約20万円と比べようもない。

 つまり、沖縄には長期滞在を可能にする超高級ラグジュアリーホテルや高級レストラン、そしてリゾート関連の商品が決定的に不足しているということだ。けれども、5つ星ホテルや長期滞在型リゾート施設の急増が沖縄の在りようを大きく変えようとしている。

 長い米軍統治下の名残をとどめるステーキハウスが象徴するように国際通りが見せる光景はどこかアメリカを思わせる。その国際通りの一角にも本土資本の安売り量販店がある。夜が深まった時間とはいえ、手に抱えられぬ程の商品を抱える中国人で店内は溢れていた。順番待ちに痺れを切らし、レジの店員に詰め寄るが、中国人の店員にやり返されて悪態をつきながら引き返す。紛れ込んだかのような日本人が店員に話しかける。が、店員は怪訝(けげん)そうな顔をするばかり。そう、中国人の店員は、日本語がまるきり話せないのである。客が中国人ならば、店員も中国人。それが沖縄の現実の一端だ。

 タクシーの運転手が苦笑しながらこんな言葉を漏らす。

 「本当に中国人に乗っ取られるんじゃないかと思うほど多い」

 たしかに、中国人は多い。飛行機で来るもの、クルーズ船で来るもの、中には自家用の大型クルーザーで乗り付ける金満中国人もいる。

 沖縄本島だけでなく、離島にも中国人をはじめとする外国人が押し掛けている。そして新しい資本が外国人を追いかけるように投下される。その最たる例が宮古島だろう。今や島は〝バブルアイランド〟の様相だ。

石垣島に寄港した台湾のクルーズ船「スーパースターアクエリアス」。
定員は1500人を超え、17年には52回寄港した
(Eric Lafforgue/Art in All of Us/ Getty Images)

 世界最大のクルーズ船運営会社「カーニバル・コーポレーション」(米国)と市が連携し、旅客ターミナルと専用岸壁をそれぞれ建設。専用クルーズ船の寄港は完成する2020年以降250回以上が予定され、年間の経済効果は150億円以上と言われる。その一方、三菱地所、森トラストなど本土資本によるホテル開発事業も本格化している。長期滞在型の高級ホテルが宮古島の顔になっていく。

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