リニューアルで老朽物件は驚異の若返り
承前。老母が大家となっている老朽木造アパート“コーポ○○”の住人S氏が退去してから一週間でリニューアル完了。事前にハウスクリーニング業者、電気屋、ガラス屋、鍵屋、畳屋の作業日程の段取りを組んでいたので一週間という超速でリニューアル工事を完了。
ハウスクリーニング業者の神業により居室はまるで新築のようになった。デジカメで概観、内装を撮影してから、意気揚々と駅前の大手不動産会社の事務所に向かった。
コーポ○○は典型的な不人気物件
この◎◎不動産は首都圏の賃貸アパート・マンション仲介の大手であり、テレビ広告でお馴染みだ。早速持参した写真のデータと住所、間取り、諸設備などを記載したメモを渡して物件登録してもらった。
しかし担当者は事務的に処理するものの、やる気が感じられない。副支店長が出て来たので業界事情と経営判断を聴取すると下記のようであった:
- 最寄り鉄道駅から20分では勤労者の借り手はいない。借り手の90%以上は“駅から徒歩10分圏内”が最優先条件。
- 築35年は物件としては最古の分類。家賃を大幅に下げないと借り手の検討対象に入らない。早々に解体して新築物件として高額家賃で貸し出すべき。
- コーポ○○の間取りは6畳間の洋室、6畳間の和室、7畳くらいのダイニングキッチン、浴室、独立洗面所、トイレ、ベランダ(布団が干せる程度の)。問題は和室であり若いファミリー層は敬遠する。できれば洋室に改装するべき。
- そもそもファミリーを対象とした“2DK”は借り手が少ない。最近はいずれの世代でも一人所帯が増えているのでワンルームタイプの賃貸物件に需要が集中している。
副支店長氏の話を聞いて若い担当者の対応がおざなりである理由がわかった。一般論
は理解できたが、自分で検証しないと腑に落ちない。
コーポ○○の客観的な資産価値は?
周辺の不動産屋や隣駅の不動産屋も数軒回ってみた。自宅周辺の不動産屋にも足を運んで業界情報を集めた。ネットでも多数の賃貸情報サイトがあった。
やはり◎◎不動産の副支店長氏のコメントが正鵠を得ていた。コーポ○○は資産としてどのように位置づけるべきか。
マクロ的人口動態は少子高齢化、人口減少という大きなトレンドのなかにある。しかしコーポ○○の所在地は首都圏近郊で、都心ターミナル駅までの通勤時間は徒歩20分を入れても平均1時間10分。ドアツードアでも都心への通勤時間は1時間20分程度。駅まで自転車を使用すれば完全に通勤圏内だ。
コーポ○○所在地の自治体の人口統計では過去10年間人口は緩やかに増加している。同じ県内でも人口が横ばい又は減少している自治体ばかりである。コーポ○○の地域の賃貸物件は県内の他の自治体に比較すると優位性がある。
問題は鉄道駅からの距離である。二つの鉄道駅の中間となっておりどちらも徒歩20分である。他方でバス停まで3分。バスはかなり頻繁に走っている。やや寂れた商店街まで3分の閑静な住宅地。
周囲を歩いてみるとアパート、マンションの賃貸物件が多い。新築物件に押されて老朽アパートは空き室が目立つ。夕方でも商店街は人通りが少ない。
どうもマクロ分析するとプラス材料とマイナス材料が交錯している。