スウェーデンで生きる 海外移住だより

2011年12月10日

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伊藤清香 (いとう・さやか)

2年半の遠距離恋愛を経て、2008年冬にスウェーデンに移住した。「移民」としての生活に悪戦苦闘しながらも、新しい土地での一からの可能性に、人生を模索中。

 スウェーデンの化学者、アルフレッド・ノーベルの命日である12月10日。

 この日はスウェーデンでは「ノーベルの日」とされ、首都ストックホルムで開催される授賞式及び晩餐会においてその年のノーベル賞受賞者を称えます(平和賞のみオスロー〔ノルウェー〕)。世界各国から集まる受賞者は、ノーベルの日を挟んだ「ノーベル週間」と呼ばれる約1週間をストックホルムで過ごし、授賞式や晩餐会以外にも会議や記念講演などの種々なイベントに参加します。

 今年は、総勢13名がそれぞれ物理学賞、化学賞、生理学/医学賞、文学賞、平和賞そして経済学賞に選ばれ、12月5日をもってノーベル週間が始まりました。

猫が受賞者を予想?
盛り上がるノーベル週間

 世界で最も権威ある賞の一つであり、各分野の第一人者の多くが憧れるノーベル賞。スウェーデン人にとっても誇りであり、10月の受賞者発表期間、そして12月のノーベル週間中はメディアを中心にその行方に熱い視線が向けられます。特に今年は、文学賞にスウェーデンの詩人トーマス・トランストロンメル氏が選ばれたので、発表日からしばらくは一層の盛り上がりでした。開催国スウェーデンも、やはり自国からノーベル賞受賞者が選出されるというのは光栄なことのようです。

 受賞者発表間近になると、様々な国でブックメーカーによる受賞者の賭けが始まり、スウェーデンでも、サッカー・南アフリカワールドカップで人気を博したタコのパウル君を真似て昨年から動物に予想させてみるなど、ちょっとした遊び心が垣間見られます。ちなみに昨年はキツネザルが、今年は猫が文学賞受賞者を予想しましたが、残念ながら2匹ともハズレでした。

ノーベル授賞式が行われるコンサートホール。授賞式当日、ホール前の市場は撤去される。

 ノーベル週間が始まると現地ストックホルムは徐々にアカデミックな雰囲気に包まれ、12月10日は一年で最も世界の注目がストックホルムに集まる日となります。この日は国営テレビSVTで朝から特集が組まれ、午後から中継される授賞式と晩餐会は毎年多くの人に視聴されます。特に晩餐会は、ノーベル賞行事としてだけでなく、開始直前まで極秘にされている料理のメニューや王室女性メンバーのドレスにも大きな関心が寄せられ、その視聴率は20.9%(昨年度、SVT調査)にも届くほどです。

一般市民も参加できる晩餐会

 ノーベル晩餐会は、毎年ストックホルム市庁舎内のブルーホールが会場となり、受賞者やその家族・親戚、友人や同僚、そしてスウェーデン国王一家、大臣、政治家、国外来賓、さらには招待状を手にした一般市民など約1300人のゲストが出席します。そして230人ものウェイター・ウェイトレスが、総合指揮官のもと3時間半の接客を担当するのです。

 しかしこのブルーホール、実際に入ってみるとその狭さにびっくり。とても1500人を超える人々が悠々と身動きできるような広さではありませんし、かなり窮屈に並べないと全席が収まりそうにありません。私達がテレビや新聞で目にする優雅な風景も、実際はかなり手狭な会場での食事のようです。

 では、晩餐会に参加できるラッキーな一般市民とは一体どんな人達なのでしょうか。

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