チャイナ・ウォッチャーの視点

2012年5月11日

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 先月の本コラムでも触れたが、来週14日から4日間、いわゆるウイグル問題の解決を目指して活動している、在外ウイグル人の組織、「世界ウイグル会議(本部:ミュンヘン)」の第4回代表大会が東京で開催される。期間中、世界20カ国から125名(予定)ものウイグル活動家が東京に集結することとなるという。

開催国・日本に圧力をかける中国政府

 例によってこの事態に、中国当局が黙っているはずもなく、先月、日本政府への圧力を明言するコメントを発表。中国の政府系メディアは、世界ウイグル会議総裁のラビア・カーディル女史(在ワシントンDC)や、前回の本コラムでも触れた、同組織の創設メンバーの一人で、現在、事務総長を務めるドルクン・エイサ氏(在ミュンヘン)らをあらためて「危険分子」と烈しく非難して伝えた。といっても、これらはいわば予想どおりの反応。むしろ予想と違っていたのはわが国政府周辺の反応である。

 去る4月9日、ロイターは、「中国、亡命ウイグル人会議開催阻止するよう日本に圧力」なる見出しの記事の中で、これまでも中国政府が、諸外国による在外ウイグル人への支援を阻むため外交的圧力をかけてきたことを伝えている。

韓国・仁川空港で拘束されたエイサ氏

 例として2009年9月、ドルクン・エイサ氏(1997年に中国を出国、06年ドイツ国籍取得)が、アジア民主化フォーラムへの参加のため到着した韓国・仁川空港で拘束された件を挙げた。

 このとき韓国政府は拘束の理由を「(中国の)ブラックリストに載っていたため」としたが、世界ウイグル会議側は「北京からの圧力があったと思われる」とし、当の北京は表向き、「知らん顔」で通した。

 この件が起きたのは、「7.5ウルムチ事件」――新疆ウイグル自治区ウルムチ市で、ウイグル人による抗議行動が当局によって弾圧され、大勢の死傷者、逮捕者が出た惨事――の2カ月後のことであり、中国当局が内外のウイグル人の動きにとくに敏感になっていた時期でもあった。

 在韓ドイツ大使館の働き掛けに加え、拘束の翌日には、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが、「ドルクン・エイサ氏の即時釈放を求める」との声明とともに韓国当局に氏の解放を働きかけ、3日後、氏は解放された。先月の来日の際、氏にこの件をあらためて尋ねると、「拘束された際、理由についての説明はなく、北京からの圧力以外に考えられないと感じた」と強調した。

中国の圧力に「泰然自若」としていた民主党政権

 以後、氏は2010年と11年の2度、日本を訪れたが、そのたびに日本のウイグル支援者らは気を揉んだという。韓国のときと同じようにひょっとすると日本でも、理由も明確にされないまま入国を阻まれるのではないか、との懸念からである。先月の入国の際にも、氏自身も周囲も不安を抱いていた。「今年は日中国交40年の年。中国が日本に強く圧力を掛け、日本側が折れるのではないか」との懸念からである。

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