今月の旅指南

2012年12月21日

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狩野直美 (かのう・なおみ)

東京生まれ。フリーライター。旅行業界誌の記者・編集者を経て、1994年からフリーランスに。主に海外旅行関連誌、ウェブマガジン等に記事を執筆中。

 全国屈指の初詣スポットとして知られる住吉大社。お参りの人々で賑わう新年の1月4日、神職や神楽女(かぐらめ)による古式ゆかしい「踏歌神事(とうかしんじ)」が斎行される。これは春の始めに大地を踏んで土地の精霊を鎮め、除厄と招福を祈願する儀式とされており、毎年約10万人の参拝客が訪れる。

宮廷行事に起源を持つ踏歌神事

 住吉大社禰宜(ねぎ)の富澤昇さんによると、

 「“踏歌”は、古くは“アラレバシリ”と読み、中国の唐から伝わった宮廷行事として『日本書紀』にも記されています。踏歌神事は、元来日本にあった農耕の予祝行事が踏歌によって潤色されたものと考えられており、平安時代には“踏歌節会(せちえ)” と称して盛んに催されていました」

 その後、宮廷行事としての踏歌節会は平安中期に廃絶、神社において神事として継承されてきた。現在でも残るのは熱田神宮と住吉大社だけといわれ、貴重な行事となっている。

 当日は午後1時より第一本宮において神事が始まる。斎主の祝詞(のりと)奏上に続き、烏帽子(えぼし)・直垂(ひたたれ)を着用した所役(しょやく)2名が、それぞれ梅の楉(すばえ)(小枝)、小餅の入った袋を持って向かい合い、梅の楉の所役が「ふくろもちー」と呼び掛けると、袋持の所役が「おーともよー」と応え、各3歩ずつ進む。これを3度繰り返し、両所役が行き違って位置を変える。袋持が神前で袋の中の小餅を取り出し、「ひ・ふ・み・よ・ご・と」と数えて、「万歳楽(まんざいらく)」と3度唱え、拝礼して退く。

神楽女による白拍子舞

 引き続き神楽女による白拍子舞と熊野舞の奉納があり、神事の終わりには4つの本宮において餅まきが実施される。この餅は紅白の“福の餅”で2500個、餅米にして4斗分(約60キロ)を用意するそうだ。

 「1年の幸福を祈り“福の餅”を授かるのも楽しいですが、踏歌神事の所作の中に、中国の唐の文化と平安の宮廷文化が現代に継承されていることを思い、悠久の歴史を感じてみるのも面白いのではないでしょうか」

 いにしえの宮廷文化に思いを巡らすのもお正月ならではの風流だ。

踏歌神事
<開催日>2013年1月4日
<会場>大阪市住吉区・住吉大社(南海本線住吉大社駅下車)
<問>☎06(6672)0753
http://www.sumiyoshitaisha.net/

 

◆「ひととき」2013年1月号より

 

 

 

 

  

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