今月の旅指南

2013年3月29日

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狩野直美 (かのう・なおみ)

東京生まれ。フリーライター。旅行業界誌の記者・編集者を経て、1994年からフリーランスに。主に海外旅行関連誌、ウェブマガジン等に記事を執筆中。

 時は慶長3(1598)年の春。豊臣秀吉は京都の醍醐寺(だいごじ)において、正室や側室、女房衆などを招き盛大な宴を催した。歴史に名を残す「醍醐の花見」である。

桜が舞い散る中、時代絵巻が繰り広げられる

 花見の開催に先立って、近畿各地から桜の木を700本調達し、醍醐寺の三宝院から槍山(やりやま)へと続く道に沿って移植。道筋にお茶屋を建てたり、参列する1300人の女房衆に西陣で新調した着物を3着ずつ用意、途中でお色直しをさせたりした。参道の両脇には各大名からの献上品がうずたかく積まれたという。まさに豪遊というにふさわしい、贅(ぜい)を尽くした花見の宴だった。

 醍醐寺では、この故事にちなんで毎年4月の第2日曜日に「豊太閤(ほうたいこう)花見行列」を開催している。

重要文化財 醍醐花見短籍 
桃山時代(慶長3年) 醍醐寺所蔵

 「秀吉は二条家より関白の位を譲り受けたことに恩義を感じ、二条晴良の息子である義演(ぎえん)僧正が座主を務める醍醐寺の再建に尽力しました。醍醐の花見は日頃閉じこもりがちな女性たちを慰めるための心遣いだったのでしょう」と、醍醐寺総務部長の仲田順英さん。

 豊太閤花見行列は、午後1時に三宝院の唐門から出発する。輿に乗った太閤秀吉を中心に、前方には前田利家、福島正則ら大名に義演僧正、そして秀吉の後には秀頼、北政所(きたのまんどころ)、淀殿などが続く。一行は参道の桜のトンネルを通って、清龍宮本殿でお参りをしてから、金堂に移動する。金堂前の特設舞台で上演される舞楽や朗詠、狂言などを観賞した後に再び参道を三宝院へと戻っていく。

 醍醐寺では3月下旬に枝垂桜、4月に入るとソメイヨシノや山桜、そして下旬には八重桜が次々と開花する。三宝院の太閤千代桜、霊宝館の太閤深雪桜や関山など、桜の名木も数多い。

「桜とともに、霊宝館もぜひご覧ください。醍醐の花見で詠まれた和歌を記した短籍(たんざく)など、秀吉ゆかりの品々が展示されています」

 花見を大いに楽しんだ秀吉は、秋の紅葉狩りの計画を立てるが、この年の夏に逝去した。秀吉が設計した三宝院の庭園は、その意をくんで紅葉の名所となっている。

豊太閤花見行列
<開催日>2013年4月14日
<会場>京都市伏見区・醍醐寺(市営地下鉄東西線醍醐駅下車)
<問>☎075(571)0002
http://www.daigoji.or.jp/events/events_detail2.html

◆「ひととき」2013年4月号より

 

 

 

 
 

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