WEDGE REPORT

2013年4月25日

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朝野賢司 (あさの・けんじ)

一橋大学特任講師

1974年福岡県生まれ。京都大学大学院にて地球環境学博士号を取得。産業技術総
合研究所バイオマス研究センター特別研究員を経て、2007年より電力中央研究所
社会経済研究所主任研究員。2015年4月より現職(兼任)。著書に『再生可能エネルギー政策論 買収制度の落とし穴』(エネルギーフォーラム社刊)など。

4月24日の日経新聞朝刊は、「再生エネブームの裏側」と題して、設備認定だけを受けて着工を遅らせるメガソーラー事業者の実態を報道。「枠だけ取って建設を後回しでは困る」という資源エネルギー庁部長のコメントも紹介しながら、全量買い取り制度が招いた「太陽光バブル」の課題を問うた。読売新聞も3月30日の社説で、「書類の認定だけで価格を確定する仕組みは疑問。価格が高い間に認定を受け、太陽光パネルが値下がりしてから設備を作る動きが懸念される」と指摘している。このテーマについて、いち早く報じた弊誌WEDGE4月号(3月20日発売)のレポート記事「バブルが始まった太陽光発電」を公開する。

駆け込み申請の背景
(編集部)

 再生可能エネルギー固定価格買い取制度(以下FIT)が2012年7月に施行され、約10カ月。懸念されていた「太陽光発電(PV)バブル」が現実のものとなっている。

 業界からは、12年12月末と13年2月末に、莫大なPVの設備申請があったとの声が聞こえてくる。しかし、認定設備量のデータを持つ資源エネルギー庁は、12年11月末時点までは翌月に発表していたのに、12月末時点データからパッタリ発表を止めた。3月初めにようやく12月末データのみ公表されたが、3カ月間更新されなかったことは様々な憶測を呼んでいる。11月末時点のPV認定設備は326万kWだったが、12月末は511万kW。1カ月間で約200万kWもの申請があった。

 しかも、13年度の賦課金は4月からではなく、5月からの適用となった。異例の事態だ。賦課金はその年度の導入量を事前に予測して算定される。エネ庁は来年度のバブルを測りかねているのかもしれない。

 調達価格等算定委員会(以下調達委)は、来年度のPVの買取価格を1kWhあたり42円から38円程度へ引き下げ、風力等は据え置く見込みだ(本稿執筆3月8日時点)。

 注意が必要なのは、認定設備の全てがすぐに運転開始(運開)するわけではないことだ。12月末時点で運開しているのは、10kW以上(非家庭用)では6%以下。北海道経済産業局によれば、管内で11月末までに設備認定された約50万kWのうち、13年内の運開は30万kW。ほぼ全てが運開するのは14年6月だ。他地域では15年3月運開という設備もあると言う(全国のデータをもつエネ庁は非開示)。PVでは計画から運転開始までのリードタイムが、屋根設置で2カ月、陸上設置で1年と言われており不可思議だ。

 なぜ、設備認定だけが先行するのか。これは、買取価格の適用条件が、設備認定と電力会社への接続申込を当該年度中に終えることとされているためだ。つまり書類審査を12年度内に終えれば、運開時期はいつであっても42円が運開から20年間保障される。世界中でPVは大幅な供給過多だから、事業者からすれば、先に高い買取価格を確保し、値崩れを待つのが当然の戦略となる。

 既にバブルは始まっている。しかし調達委は、PVの買取価格を1割下げるくらいのことしかできない。FITは制御できるのか。まず遅れている情報公開を徹底すべきだ。

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