下町ボブスレーの経験を活かし
町工場が狙う下請けからの脱却


Wedge編集部

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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「街のパン屋さんみたいなものづくりをしたい。自分がつくりたいメロンパンをつくって、家族が食べられる分だけ稼ぐ。大量生産のために、設備入れて、従業員増やして……。もうそういうのはいいや、って」

 羽田空港近くの工場団地。ナイトペイジャー社長の横田信一郎(44)はこう話しながら、新型キックスケーターの試作機を見せてくれた。まもなく、ものづくりに特化したクラウドファンディングサイト「zenmono」で資金集めを始めるという。

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 「後輪に付いているペダルを両足で交互に踏めば前に進む。変速機が入っているので、自動でギアチェンジするのが特徴。量産のための資金をクラウドで集めたい」

 横田はプロジェクトリーダーとなって、いくつかの町工場を束ねて商品化と量産を先導する。横田がチームにこだわるのは、「下町ボブスレー」の経験があるからだ。

 中小企業の街として有名な東京都大田区だが、1980年代に9000社あった町工場は、いまや約3000社にまで減った。日本の産業を支えてきたはずの町工場の将来に危機感を覚えた大田区の経営者たちが始めたのが「下町ボブスレー」だ。

下町ボブスレーから町工場の未来を創る

 「ボブスレーは欧米では人気スポーツ。イタリア代表はフェラーリ、ドイツ代表はBMWがつくっているのに、日本代表は海外チームのお下がりを使っている。大田区のものづくりの力を結集して五輪を目指そうじゃないか」─細貝淳一・マテリアル社長のこの呼びかけに100を超える中小企業が集まった。

 広報委員長として「下町ボブスレー」を支えるうち、横田は気がついた。「町工場の経営者って、みんな悩んでる。一人で。技術だけじゃもう食べていけない。でも何を始めたらいいかわからない。そんな社長さんが多い。僕の経験を話すと、みんなが食いついてくれる。ボブスレーの縁から、町工場の未来を創りたい」。

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