WEDGE REPORT

2009年5月20日

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 100年に1度といわれる大不況。日本人の雇用問題ばかりに注目が集まり、誰も口にしなくなったが、「1000万人移民計画」も、「留学生30万人計画」も、「EPAによる介護・看護労働者受入れ」も、議論が盛り上がったのはついこないだのこと。雇用環境悪化のなか、「外国人労働者の今」を取材すると、意外にも現場から聞こえてきたのは排除論より「頼りになる」との声だった。

高度人材で重みを増す外国人

 「日本人の採用数は絞り込む一方で、中国人学生の採用に初めて踏み切った大手企業が出てきた」(業界関係者)

 この大不況なら、大手企業にとっては買い手市場のはず。優秀な日本人学生を確保するのは簡単そうだが、研究者やマネジメント人材といった、いわゆる「高度人材」で外国人採用を強める企業が増えている。

 従来から行ってきた留学生採用に加え、海外の大学からの直接採用に踏み切ったのは三菱化学。慢性的に枯渇感のある機械、電気電子系(機電系)や、化学工学系(化工系)の優秀層を確保すべく、昨年10月、中国全土2000大学のランキングで第3位といわれる上海の浙江大学でセミナーを開催。200名ほどの母集団から1名の内定に至ったという。「想像以上のアグレッシブさだった。事業のグローバル化、現地法人の幹部人材育成を考えると、業績に拘わらず現地採用は続けていきたい」(吉里彰二人材・組織開発部長)。

日本企業の説明を熱心に聞く中国人学生たち(提供:ジョブテシオ )

 こういった企業のニーズに応えようと、ベンチャーを設立したのがジョブテシオの石黒嘉浩社長だ。石黒氏は起業前、三井化学で採用業務に携わっていたが、少子化、理系離れ、文系就職ブームのトリプルパンチで、工学部、なかでも成熟化した感のある機電系、化工系研究室の人気が急速に落ちていくのを目の当たりにし、中国での採用を具申。「現場の労務管理は外国人には無理」と反対の急先鋒だった工場の幹部を現地の大学に連れていったとき、「昔の日本人のようだ」と目を輝かせたのを見て、起業を決意したという。

 昨年秋には、電機業界や化学業界の大手企業約10社を引き連れ、浙江大学、上海交通大学(ランキング4位)、大連理工大学(同25位)でセミナーを開催。全社1~数名の内定に至った。「特に大連理工大学は親日的で日本語学科もあり、日本語がペラペラの学生が多い。現地に行けば、どの会社の方も絶賛しますよ」とは松原良輔・ジョブテシオ国際事業本部長の弁だ。

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