エネルギー問題を考える

2014年9月26日

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澤 昭裕 (さわ・あきひろ)

国際環境経済研究所所長

1957年、大阪府生まれ。1981年一橋大学経済学部卒業後、通商産業省(現在の経済産業省)入省。東京大学先端科学技術研究センター教授等を経て現職。21世紀政策研究所研究主幹も務める。

【要旨】
・「脱原発」は民主的な意思決定(「脱原発法」の制定など)によるべきで、安全規制を利用したり歪めたりして達成すべきものではない。
・規制の「予見可能性」の向上のために最重要なのは規制活動の基本原則の確立だが、規制委の活動原則は抽象的すぎてもはや哲学的。
・「効率性」や「首尾一貫性」といった概念を含んだ米NRCの活動原則を参考にし、安全規制の方法論も議論していくべき。

 前回まで見てきた原子力安全規制を巡る規制委員会と事業者の相互不信の構造は、どのようにすれば改善するか、まずは規制委員会に求められる取組み、そして次回は事業者に求められる取組みについて述べたい。

規制機関側に求められる取組み

 安全規制の存在意義は、本来事業者が原子力という危険を孕む技術を利用して発電事業を営むことを前提として、それが公衆の安全や環境の保全に悪影響を及ぼさないようにすることにある。したがって、事業者が原子力事業を営むに当たっての不確実性を除去することにつながるような安全規制になっていなければならない。それが逆に不確実性を増大させることになっているとすれば、本末転倒である。仮に、原子力事業や技術が安全その他の理由で社会的に容認されず、事業の対象又は手段とすることが許されないということであるならば、原子力事業が存在しない状態は民主的な意思決定(すなわち、例えば「脱原発法」の制定など)によって行われるべきであり、安全規制を利用したり歪めたりすることによって達成すべきものではないのだ。

 したがって、安全規制のあり方として求められる規制側・事業者側の共通理念が「予見可能性」である。予見可能性は広い概念だが、許認可の申請から処分に至るプロセスの面では、どのような順番で、どのような場で、どのようなメンバーで、どのくらいの期間で行われるのか等、また内容的には許認可の判断基準や解釈が担当者によってぶれることなく一定の範囲内で安定的であること等がその概念に含まれる。このような予見可能性を向上させるためには、手続きや規制基準適用事例・解釈などの徹底した文書化などが求められるが、それにも増して最も重要なポイントは、規制活動の基本原則の確立である。

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