韓国の「読み方」

2014年10月6日

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江口由貴子 (えぐち・ゆきこ)

防衛省防衛研究所研究員

2007年慶應義塾大学総合政策学部卒、09年同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。2013年、韓国延世大学大学院政治学科修士課程修了。2010年より2012年まで外務省在韓国日本大使館勤務を経て、2013年より現職。専攻は日韓関係、韓国の外交安保政策。

 現在韓国では日本よりも深刻な若者の就職難が起きている。韓国では熾烈な就職競争に勝ち残った一部の人が大企業に就職でき、大企業就職という狭き門はまた、どこの大学を卒業したか、と直結しているように思われる。韓国ではSKY(S=Seoul国立大学、K=Korea大学、Y=Yonsei大学)の3大学がトップクラスとされ、受験戦争を勝ち抜いた優秀な学生たちが集まる。韓国は全人口約5000万人のうち半数が首都圏(ソウル・京畿道・仁川)に住んでいる。この過密度は、韓国の政治・経済・文化が都市に一極集中していることを象徴しており、教育もまた、例外でない。一極集中に伴う競争とその過熱が大きな社会問題の一つとなっている。

根強く残る科挙文化

 中国から伝わった科挙制度の名残だろうか、韓国は教育や知識に対する意欲が高い。新羅時代、国家が必要とする優秀な人材を発掘する方法として用いられた科挙制度は、李朝時代に体系化され、科挙のための教育もまた急速に発展していった。厳しい身分階級制度の下で、学問は立身出世の手段として用いられ、学問をする者は格式高い人間として評価される儒教的概念は、筆者が韓国留学中にも強く感じたことである。日本に比べて「先生」を敬う社会的風土が根強く残っており、毎年5月15日は「師匠(先生)の日」とされ、その日は先生に日頃の感謝の気持ちを表す。大学教授の地位も日本に比べ高いように感じた。官僚と同様に多くの学者が政権中枢に抜擢される政治文化も、科挙制度の名残と言えるのかもしれない。

 このように、韓国社会における学問や教育に対する高い意欲は、両親の子どもに対する教育熱にも表れる。90年代以降、国際化を掲げる韓国において、英語教育に対する人々の関心及び投資は急速に過熱していき、現在もその状況は変わっていない。今回は韓国における英語教育熱、それに伴い2000年代初頭にブームとなった早期留学について整理してみることとする。

2000年から急増した早期留学

 早期留学とは、初・中・高等学校段階の学生が国内の学校に入学あるいは在学せず、海外の教育機関に一定期間にわたって修学することとされている。多くのケースは、幼いうちから子どもだけ、もしくは子どもと母親が英語圏に留学し、現地の学校で英語を身につけることである。もちろん経済的にある程度余裕がなければできないことではあるが、子どもの将来の成功を願う親たちにとっては一つの選択肢として注目された。主な留学先は、米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド等である。

留学フェアに参加する親子(写真:ロイター/アフロ)

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