チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年10月10日

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小原凡司 (おはら・ぼんじ)

東京財団研究員・元駐中国防衛駐在官

1963年生まれ。85年防衛大学校卒業、98年筑波大学大学院修士課程修了。駐中国防衛駐在官(海軍武官)、防衛省海上幕僚監部情報班長、海上自衛隊第21航空隊司令などを歴任。IHS Jane’sを経て、13年1月より現職。

 香港ではデモが10日以上続いているが、警察による強制排除の直前に、一部で道路封鎖が解除されている。学生たちの自主的な封鎖解除により、衝突が回避された格好だ。

 デモは、2014年9月28日、現行政長官の退任と真に民主的な行政長官選挙を求める学生組織を中心に開始され、参加者は一時、10万人を超えたという。

 デモ初日の28日に、警官隊がデモ隊に対して催涙ガスや催涙スプレーを使用し、学生たちが雨傘を開いて防御したことから、「雨傘革命」とも呼ばれている。

 香港のデモを見た中国人(大陸も香港も)の反応は賛否両論であるが、一般的に、若い世代ほど、単純に香港の学生たちを支持しているようだ。

 一方で、1989年6月4日の天安門事件(六四天安門事件)を知る年配者の中には、中国共産党が学生や市民を武力弾圧するという悪夢が再現されるのではないかと心配する声もある。

行き過ぎた実力行使は避けたいが…

 人民解放軍が学生や市民に対して無差別に発砲した六四天安門事件は、海外から痛烈な批判を受けた。天安門広場に集結していた学生たちを批判していた、同じく一党統治のシンガポールでさえ、武力弾圧には反発した。

 ちなみに、この時、使用された部隊は北京の部隊ではない。北京の部隊は、市民に発砲することに抵抗したと言われる。しかし、地方から投入された部隊は、何の抵抗もなく無差別に市民に発砲し、惨劇が繰り広げられた。

 海外で、この様子がテレビ放映され、強い非難が起こったのだ。その結果、日本や欧米諸国は、中国に対して外交・経済制裁を課すことになった。

 丸腰の市民を軍隊に弾圧させた中国に対する各国の不信感は今でも残っているが、中国共産党自身にも大きなダメージを与えた。

 しかも、香港は「一国二制度」の名の下に、種々の面で対外的に、より開かれている。香港で弾圧が行われれば、六四天安門事件以上に、海外の衆目を集めることになる。台湾の反発も必至だ。何より、今、流血の事態を起こせば、11月のAPEC開催が危うくなる。

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