科学で斬るスポーツ

2014年12月4日

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玉村 治 (たまむら・おさむ)

スポーツ科学ジャーナリスト、科学ジャーナリスト

小学校より野球をはじめ、大学では投手として活躍。スポーツを科学的に分析することを得意とし、バンクーバー、ロンドン五輪、ワールドカップサッカーなどで取材。

 大相撲九州場所(11月場所)で、希代の大横綱、大鵬と並ぶ32回目の優勝を成し遂げた白鵬。他を寄せ付けない圧倒的な強さの裏には、力と力がぶつかり合う相撲において、自分の力だけでなく、相手の力をも有効に利用してしまう「柔らかさ」「うまさ」がある。細い体から肉体を作り上げ、大鵬の最大の長所の柔らかさに加え、剛の両面を持ち、重心のスポーツとされる相撲の極意を知り尽くしたセンスは、追随を許さない。40回の優勝も現実味を帯びている。

大相撲 九州場所で優勝から一夜明け会見する白鵬
(写真:日刊スポーツ/アフロ)

 この白鵬に続き角界を引っ張ると期待されるのが、幕下付け出しから5場所で、史上最速の関脇に昇進した逸ノ城だ。九州場所では、上位陣と当たる難しい番付ながら勝ち越し、類い希な才能を見せつけた。角界を席巻するモンゴル出身の白鵬、逸ノ城の躍進の秘密はどこにあるのか、日本人力士はどこと違うのか、迫りたい。

9割の勝敗を決める立ち合い
力士にかかる力は1トン

 相撲の立ち合いは、勝敗の8~9割を決めると言われる。体重150kg同士の力士が正面からぶつかり合った時の衝撃は800kg。体重が200kg同士では、1トンを超える。

 この衝撃力をまともに受け止めることはどんなに鍛えていても難しい。自らも前のめりになって当たっていくか、あるいは力を逃がしたり、かわしたりしななくてならない。互いにバランスが崩れやすい瞬間であり、ここで先手をとれば、技をかけやすい有利な体勢に持ち込むことができる。

 この立ち合いに絶対的な自信を持つのが白鵬だ。クッションなみに力を吸い取り、多様な攻めにつなげる柔らかい相撲を取る。それは昭和の大横綱「大鵬」(1940-2013年)と共通する。

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