ロシアは「アジアの国」になろうとしているのか

『プーチンはアジアをめざす』


中村宏之 (なかむら・ひろゆき)  読売新聞東京本社調査研究本部 主任研究員

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。福島支局、立川支局、経済部、政治部、ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスクを経て2014年より現職。著書に『世界を切り拓くビジネス・ローヤー』『御社の寿命』、(いずれも中央公論新社)など

オトナの教養 週末の一冊

»最新記事一覧へ

7年ほど前ロンドンに勤務していた時、ロシアに何度か出張する機会があった。ロシア入国には必ずビザが必要で、朝からロンドンのロシア大使館の前にできる長蛇の列に並び、ようやく窓口で書類を出し終えたと思ったら、夕方また来るように言われる。しかも手数料は高額。最初から入国を拒絶されているようで、正直、いい気分はしなかった。

 現地に到着しても入国手続きに時間がかかるし、郊外の空港からモスクワなど市街地への移動も慣れるまでは結構難しい。取材で訪れたサンクトペテルブルグではスリにあった経験もあり、筆者(中村)は個人的にはシンドイ国だなあという印象がある。英メディアも概してロシアにはあまり好意的ではなく、ロシアを取り上げる記事には批判的な内容が多かったと記憶する。

 ただ私の訪問時は、プーチン大統領が二期目の時期で、経済的には勃興し、ビジネス関連のいろいろなニュースが多く、ロシアの動きは世界で注目されていた。ウクライナ問題や原油価格の急落など昨年からロシアの動向が注目されている中、最近のロシアをどう理解すれば良いのかを知りたくて本書を手に取った。

プーチンの素顔とは?

 ロシア外交、ウクライナ問題の背景など学ぶことの多い記述が並ぶが、中でも第4章の「素顔のプーチン」という部分は興味深い。

 プーチンといえばKGB出身で「笑顔を見せない人」というイメージが筆者の中にも強いが、実際、いろいろなニュースで出てくる写真や映像を見てもほとんど笑っていることはない。一般的な経歴では紹介されない部分があり、それがプーチンのパーソナリティにも影響しているという著者の指摘は納得できる部分も多い。

 柔道家であり知日家という部分もプーチンのパーソナリティを構成している一つの要素であることも紹介され、そうした面では身近に感じられなくもない。また実際にプーチンに会った著者の「気さくな人物」という第一印象には意外な感じがする。

1
nextpage
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
「オトナの教養 週末の一冊」

著者

中村宏之(なかむら・ひろゆき)

読売新聞東京本社調査研究本部 主任研究員

1967年生まれ。91年、慶應義塾大学経済学部卒、読売新聞東京本社入社。福島支局、立川支局、経済部、政治部、ロンドン特派員、米ハーバード大学国際問題研究所研究員、経済部デスクを経て2014年より現職。著書に『世界を切り拓くビジネス・ローヤー』『御社の寿命』、(いずれも中央公論新社)など

WEDGE Infinity S
ウェッジからのご案内

Wedge、ひととき、書籍のご案内はこちらからどうぞ。

  • WEDGE
  • ひととき
  • ウェッジの書籍