WEDGE REPORT

2015年1月21日

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倉都康行 (くらつ・やすゆき)

RPテック代表取締役、国際金融評論家

1979年東京大学経済学部卒。東京銀行、バンカース・トラストを経て、チェース・マンハッタン銀行。2001年4月に金融シンクタンクのRPテック株式会社を設立。

原油価格の下落はエネルギーコスト低下に直結するため、経済のプラス材料であるが、喜んでばかりもいられない。世界は一歩間違えればデフレに陥りかねない状況にあり、原油安はそのトリガーになる可能性をもつ─。

 今後の世界経済リスク要因として、米国の利上げ、中国不動産バブルの瓦解、逆オイルショック、欧州危機の再燃、ロシア危機そして地政学リスクなどが挙げられる。中でも最大の攪乱要素になりそうなのが、急落した原油価格である。

 原油相場は2014年6月以降価格が40%以上も下落する大波乱となり、ロシアのルーブル暴落を誘うなど猛威を振るっている。その背景にあるのは石油需給バランスの崩れである。

ルーブル暴落に頭を悩ませるプーチン大統領 (GETTY IMAGES)

 シェール開発は、設備投資を牽引し周辺産業での雇用機会を生む一方で、石油供給量を押し上げることになった。だが、中国経済の成長鈍化や日欧の景気低迷などを背景に、石油需要の伸びは頭打ちとなっている。

 原油価格が急低下すれば産油国が減産して市場価格が均衡に向かう、というのがこれまでの定番シナリオであったが、今回OPECの盟主サウジアラビアは減産に応じなかった。それが、価格下落を加速させたのである。

メリットばかりでない原油安

 サウジが減産に合意しなかったのは、諸説あるが、いずれにしてもサウジが原油シェアの維持を狙ったことは確実だ。原油は唯一の外交力であり、その市場支配力が減衰することは断じて許されないのである。このままでは歳入不足で財政危機に見舞われる産油国が出るかもしれず、サウジも190ドル以下では財政赤字になると言われているが、豊富な保有外貨を盾に長期戦に耐える力が同国にはある。原油価格が急反転することは想定し難い。

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