中島厚志が読み解く「激動の経済」

2009年7月30日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

経済産業研究所理事長

1952年生まれ。東京都出身。東大法学部卒業後、75年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。パリ興銀社長、日本興業銀行調査部長、みずほ総合研究所専務執行役員チーフエコノミストなどを経て現職。著書に『統計で読み解く日本経済 最強の成長戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『日本の突破口―経済停滞の原因は国民意識にあり』『世界経済連鎖する危機―「金融危機」「世界同時不況」の行方を読む』(東洋経済新報社)など。

 金融危機は底入れした感があるが、依然出口には程遠い状況にある。その中で企業の業績も厳しい状況にある。それは日本企業だけではなく、欧米企業も同様である。しかし金融危機が米国発であるにもかかわらず、今回の危機による利益率の落ち込みは日本企業が一番大きい。

 たとえば、日経225対象企業(金融を除く。以下同)の売上高当期純利益率の推移を欧米大企業(米国はS&P対象企業、欧州はEUROSTOXX対象企業)と比べると、いままででも日本企業は4%程度、欧米企業は8%弱と、2倍近い差があったが、金融危機が起きた2008年度決算では日本企業1%弱、欧米企業5%程度と日本企業の利益率低下度合いが際立っている。

 もちろん、この落ち込みの大きな要因としては、日本の主力産業が輸出を担う製造業であり、今般の金融危機ではとりわけ輸出企業の業績悪化が大きかったことがある。確かに、日本の非製造業大企業の利益率は3%程度で安定しており、今回の危機でもほとんど落ちておらず、利益率急落は、マイナスにまで落ち込んだ製造業大企業でもっぱら起きている。しかし、欧米の製造業のみならず非製造業企業の利益率も、落ちた後でも日本の非製造業大企業以上の水準にある。

 日本の大企業は、金融危機が欧米大企業を直撃する中で、強固な財務基盤と潤沢な手元資金を維持して勝ち組と言われてきた。ところが、利益率などを見るとそうとは言えず、日本企業は依然として欧米企業に劣後しており、収益力を高める努力が欠かせないということになる。

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