アパレル工場直結のジャパンブランド「ファクトリエ」(本社:熊本県、東京オフィス:中央区)が8月1日から、グローバル配送をはじめた。配送対象国は120カ国以上、配送料は一律2800円。これまでは海外配送を受け付けていなかったが、海外からの注文数が増加したことを受けてグローバル配送の体制を整えることになった。社長の山田敏夫さんは、「世界の人々もMade in Japanのアパレルを高く評価しているということ」と喜ぶ。
ファクトリエは、商社・卸等の中間業者を排除し、アパレル工場と直接提携することで、余計なマージンを上乗せせず、高品質の商品を低価格で販売するというコンセプトで、2012 年10 月に山田さんが立ち上げた。店舗コストをカットするということで、販売についても基本的にネットのみで行われる。
実家が熊本市の婦人洋品店だった山田さんは、日本の縫製業が衰退していくのを目の当たりにしてきた。日本の縫製業を守るためにはどうしたらいいのか……。考えついたのは、作り手と使い手を直接つなぐことだった。熊本県人吉市のシャツ工場と提携してワイシャツの販売からはじめ、ジーンズ、ポロシャツ、ネクタイ、そして、カバン、財布など商品展開を広げている。
ファクトリエが海外に知られるようになったのは、海外メディアに取り上げられたことや、購入してくれたユーザーが自ら発信してくれたことがきっかけだという。海外から注文が増えてくると、メールで返信して対応したり、配送料が不足していたりと、煩雑な作業が増えていった。そこで海外からの注文を受ける窓口を整備することになった。
海外配送をはじめるにあたって行ったことは3つ
まず、海外主要国における国際商標を取得。次に英語サイトの立ち上げ。「職人の技や、素材の品質の高さなど、翻訳には気を使いました」(山田さん)。 最後に、決済システムの整備だ。決済はクレジットカードでのみの対応になるが、怖いのが不正使用。偽造などでクレジットカードが不正使用された場合、本来のカードの持ち主がカード会社にストップをかけるため、配送はしたものの、お金は受け取ることができない、ということになってしまう。そこで、注文とカードユーザーが一致しているかどうかを確認する仕組みを取り入れた。