WEDGE REPORT

2009年9月25日

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 鳩山新政権が、「政権交代」の次なる旗印「脱官僚」を広く印象付けるために、次々と方針を打ち出しています。

 国家戦略局に行政刷新会議、閣僚委員会や政務三役会議に各省政策会議といった新味ある会議体、事務次官会議廃止や官僚の記者会見原則廃止・・・。これらの取り組みは、「いよいよ時代が変わった」という実感を国民に与え、マスコミも概ね高い評価を下しているようです。

 これらの取り組みの根幹にある思想は「政府与党一元化」です。飯尾潤氏の『日本の統治構造』(中公新書)をはじめとして、日本の政策決定システムは「政府」と「与党」が分立してしまっているとかねてから指摘されてきました。この二元構造こそが官僚主導をもたらしたのであり、議院内閣制のモデルであるイギリスを見習って「一元化」すれば「脱官僚」し、「政治主導」を確立できるというのが民主党の考えです。

 この内容は一般の国民にそう理解しやすいものではないでしょう。「政府与党一元化」というテーゼを理解するには、これまでの自民党時代の政策決定システムを、具体的に把握しておくことが必要です。

官僚におんぶにだっこだった政治家

 自民党の政策決定システムは、省庁間調整から与党内調整、さらには与党対応まで官僚に大きく依存していました。「官僚主導」という言葉は、選挙の洗礼を受けない役人が、その役割を超越して政治家の領分に踏みこみ、勝手に利権を差配しているという印象を与えます。しかし、「官僚主導」の本質は、方針決定や利害調整といった政治家の本分を、政治家自身が放棄してきたことにあります。

 このことは、霞が関官僚の仕事の実態を詳しくみると、よくわかります。法案を策定する過程において、あらゆるステップの仕事を、官僚が請け負ってきました。

 多くの政策は、複数の省庁が異なる観点から所管しています。例えば環境関連なら、環境面は環境省、エネルギー面や業界・企業対応は経済産業省、外交面は外務省となります。法律改正や新法制定の際は、主たる所管官庁が関係省庁に事前に仁義を切ってから作業に入りますが、省庁の利害は衝突することが多く、時間をかけて調整することが欠かせません。

 事前調整が済み、法律案を作って、内閣法制局の審査が終われば、全省庁に法律案を送り、質問や意見を受け付ける正式調整の段階に入ります(一般に「各省協議」と呼ばれます)。

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