IS終わりの始まりか
こうした欧米の動きの一方で、フランスとロシアがシリアのISの首都ラッカに対する空爆を激化させている。フランスは17日夜もヨルダンとペルシャ湾から戦闘爆撃機10機を出動させ攻撃した。フランスは一両日中にも空爆を強化するため空母「シャルル・ドゴール」を地中海に展開する見通しだ。
エジプト・シナイ半島で先月末に起きたロシア旅客機墜落をISのテロと断定したロシアは同組織への報復攻撃を強め、ロシア本土から長距離爆撃機を初めて出撃させてラッカ内外の約270カ所を空爆したほか、東地中海上の艦船から巡航ミサイル30発を撃ち込んだ。
また、米国もこの2カ国と連携する形で空爆を強化しており、一部の情報によると、ラッカではISの戦闘員が多数死亡し、戦闘員の家族らがラッカを脱出して、ISの占領下にあるイラクのモスルへ移動する動きも出ている、という。IS側にかなりの損害が出ているのは確実だ。
オランド大統領はロシアとの軍事的な協力を強めていく考えを表明し、17日プーチン大統領と電話会談。さらに24日には訪米してオバマ大統領と会い、26日にはモスクワを訪問してあらためてプーチン大統領と会談する予定だ。フランスとロシアはウクライナ問題で関係が冷却化していたが、皮肉にもパリのテロで結束が強まった形だ。専門家の1人は「テロは米仏ロの3カ国を結束させた。ISにとって裏目に出たのではないか。ISの終わりの始まりかもしれない」と指摘している。
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