2024年12月22日(日)

J-POWER(電源開発)

2016年1月14日

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 温室効果ガス、気候変動、地球温暖化。気象の専門家としてエネルギー問題に無関心ではいられない―。「水力発電」は果たして期待どおりの再生可能エネルギーなのか。お天気キャスター森田正光さんの取材に同行した。

J-POWER 屈足(くったり)発電所を視察する森田さん

  

純国産の再生可能エネルギー「水力発電」のアドバンテージ

 「つい先日、アジアの気象キャスターが集まる国連のワークショップが東京で開催されて、WMO(世界気象機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の専門家を交えて議論をしたんです。地球温暖化の問題は、お茶の間に近い僕らが率先して伝えないといけませんからね」

 北海道のとかち帯広空港に降り立ち、本誌取材班と合流したお天気キャスターの森田さん。早くも仕事モードでそう切り出すと、本日の行程を確認した。行き先は、J-POWER(電源開発株式会社)が十勝川水系で運営する2つの水力発電所。今回のミッションはここを訪ね歩き、低炭素社会の一角を担う「水力」の役割を改めて認識することにある。その建設と運営で60年以上の歴史を持つJ-POWERは、全国に60の水力発電所を有し、合計出力約860万kWで水力シェア第2位の電力会社である。

  「思えば、水力発電というのはもっと注目されていいはずなんですよね。CO2を出さない再生可能エネルギー(以下、再エネ)の代表格だし、日本全国にくまなく設備があって、すでに電源として定着しているんですから」

  日本のエネルギー自給率は6%程度にすぎない。石油や天然ガスといった燃料の調達を輸入に頼らざるを得ない資源貧国の日本にあって、水源があるかぎり稼働を続けることができる水力発電は、極めて貴重な“純国産の再エネ”である。

  「化石燃料は使ったらなくなるけど、水は違う。半永久的に使える循環型エネルギーでもあるんですね」

  現在、日本の水力発電は発電設備容量(一般電気事業用)の約2割を占める約4800万kWに達している。その特長は、電力供給の安定性に優れ、また揚水式や貯水池式の活用により、時間帯によって大きく変動する電力需要に素早く対応できることにある。この強みを生かし、需給バランスの調整に力を発揮する「ピーク電源」として、今も不動の位置につけているのである。

小水力発電「くつ電くん」で未利用エネルギーの有効活用

 大小200もの河川を束ねながら大雪山の東南斜面を下る、流域面積全国6位の十勝川水系。その中流部に位置する「屈足(くったり)ダム」が、森田さんが真っ先に向かった取材先である。

(左上)屈足ダムから放流される維持流量は夏期は毎秒4㎥、冬期は2㎥で、放水口は水門直下にある。(赤丸部分) (右上)小型ながら毎分600回転の性能を備えた発電機。既存の放流管を改造して設置。 (下)屈足ダムを上空から望む。ダムの維持管理という技術的側面からも緑地帯は重要。
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 帯広から車で約40分、雄大な大雪山系を眼前に仰ぎながら丘陵地帯を抜けると、美しい緑の芝生に立つ水門が忽然と姿を現した。ここに地元の小中学生から「くつ電くん」の愛称を与えられた、ミニサイズの発電所が誕生したという。正式名称は「くったり発電所」。J-POWERが60カ所目に開発した最新の水力発電所で、平成27年4月に運転を開始した。最大出力は470kW。一般家庭の約780世帯が1カ月に使う電気を賄うことができる。

 「でも、出力何万kWというのが当たり前の普通の発電所に比べると小ぶりですよね。すでにこのダムの水は熊牛発電所で利用しているのに、新しく発電所をつくったのはどうしてなんでしょう」