WEDGE REPORT

2009年12月20日

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アーロン・フリードバーグ

プリンストン大学政治・国際情勢学教授。米中対抗に関する新著が米W・W・ノートンから近くに刊行予定。

 国家には、戦略的な国益がある。ところが国家とは、その追求に資すような行動を常にとるものだろうかと問うならば、歴史の教えるところ答は否である。

 戦略的国益の追求とは、元来長期に及ぶ事業である。しかし政府の多くは往々にして足下の問題に眼を奪われ、尺度の長い案件を認識することができない。よしんばできても、取り上げることが難しい。

 長期の難問を、これだと特定できる分野があったとしても、ふさわしい対応をなせるとは限らない。予算の制約、国内圧力団体の存在といったものが邪魔立てする。

 そして、国と国の関係でも話は似たり寄ったりである。協力するのが当たり前、できないとしたら不思議だというくらいの国同士が、愚にもつかぬ意見の相違とか、延々続く行き違いなどのせいで、分裂してしまうということがあり得る。

前例のない経済成長 権威体制はなお続く

中国の力を誇示した建国60周年記念の
軍事パレード
(写真提供:AP Image)

 こうした傾向が(日米間で)続くとしよう。その時中国の台頭は、日米双方に対して1つの挑戦を課す。挑戦というより恐らく脅威というべきで、それは、日米が同盟を結んでこの方、およそ直面したことのない規模の脅威となる。

 この際日米が相互に、かつアジアの民主主義諸国とともに、しっかり力を合わせることができるなら、長い同盟相手の日米両国は平和を守り、安全保障を図るに十分な、力の均衡を維持することができる。逆にそれができなければ、日本と米国は先行き周囲から離間し、重要度において極めて低い国になってしまうかもしれない。代わって地域を支配するのは、日米自身の利益・価値との違いも尖鋭な、ある1つの国だということになる。

 経済改革を始めて30年、中国が達成した成長はその持続力において前例がない。経済大国番付を駆け上がり、見方によっては総生産額(GDP)で日本を抜くのは時間の問題だという。いまの傾向が続いていくと、今世紀半ばまでに、米国とすら肩を並べる勢いだ。

 これと同様に、またある意味ではさらに目を見張るべきは、中国における権威主義的な一党体制が持続していることである。経済改革が始まった当初、これで中国も加速をつけてリベラル・デモクラシーにつながる道に乗ったとするのが大方の見方だった。この種の期待は、19世紀から20世紀初頭における欧州と、第2次大戦後アジアにおいていくつかの国で起きた実際の経験に基づくものだった。これら諸国ではどこでも、経済成長が中間層の拡大をもたらした。力を増した中間層は政治的権利を求め、やがて勝ち取っていった。

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