WEDGE REPORT

2010年3月4日

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昨年末、UAEのアブダビで繰り広げられた原発商談で異変が起きた。
技術力と実績で圧倒する日米連合とフランスが、伏兵・韓国に苦杯を喫したのだ。
続いて始まったベトナムでも第1期プロジェクトではロシアの受注が事実上内定した模様だ。
その陰にあるのは、原発だけでなく、兵器の供与を含めたパッケージでの提案が
ロシアにとって功を奏したと見られている。
世界トップクラスのプラントメーカー3社を有する日本に灯った黄信号。
この状況を受け、「環境・エネルギー大国」を掲げる鳩山首相は
ベトナムでの第2期工事では巻き返しを図るべくトップセールスを宣言した。
日本に求められるのは、官民挙げた迅速かつ具体的な行動力である。

李明博大統領のトップセールス

 それはまさに、世界の原子力産業市場における新しいライバルの出現だった。

 世界の原子力産業関係者が注目していたアラブ首長国連邦(UAE)・アブダビ首長国における原子力発電所の建設商談。暮れも押し迫った昨年12月27日、韓国電力公社(KEPCO)を中心とした韓国の企業連合が、日立製作所・米ゼネラル・エレクトリック(GE)の日米連合やフランスのアレバなどの強敵を破って受注した。中東初の原発建設となるこのプロジェクトは、出力140万㌔ワットクラスのプラント4基で構成され、受注額は完成後の運転支援などを含めて約400億㌦(約3兆6000億円)と巨額なものだ。

 大方の予想では、サルコジ大統領が自ら商戦の先頭に立ったアレバがリードし、日立・GE連合がそれを追う展開で、実績の乏しい韓国連合は「受注確率は1割程度」(電力業界関係者)と泡沫候補扱いだった。

 しかし前評判の低さが韓国連合に幸いする。危機感を強めた韓国連合は李明博大統領によるトップセールスを敢行。「李大統領がUAEを訪問したほか、アブダビのムハンマド皇太子と6回にわたる電話会談を実施」(重電業界関係者)して「オール韓国」の姿勢をアピールした。実績に裏打ちされた技術の優位性ばかりを強調したアレバや日立・GEに対し、韓国は両国関係強化の一環としての原発建設を強調したわけだ。

●原子力発電の仕組み
原子力発電は、発電段階でCO2を排出しない。


世界で最も多く採用されている原子炉は「軽水炉」である。減速材や冷却材に軽水(普通の水)が使用されている。蒸気を発生させる仕組みの違いで、沸騰水型炉(BWR:Boiling Water Reactor)と加圧水型炉(PWR:Pressurized Water Reactor)の2種類に分けられる。
参考:http://www.energia.co.jp/atom/atom2.html 

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