WEDGE REPORT

2016年10月21日

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 JFEホールディングス系列と、IHI系列の造船専業メーカーが企業統合して誕生した「ジャパンマリンユナイテッド」(JMU)が統合効果を発揮、拡大路線に転じている。統合による開発力の強化を生かして対応できる船種を増やし、あらゆるニーズに対応できる体制を整えたことが背景にある。造船業界は世界的な海運市況低迷などの直撃を受けて経営環境が悪化し、三菱重工業や川崎重工業が造船部門の抜本的な立て直し策の検討を始めるなどの動きが出ているが、JMUの躍進は今後の業界動向にも影響を与えそうだ。

業界最大の開発要員

広島県呉港(iStock)

 JMUは旧NKKの造船部門と日立造船の造船部門をそれぞれ分離統合した旧ユニバーサル造船と、IHIの造船子会社だった旧アイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッド(IHIMU)が2013年1月に合併して誕生した造船専業メーカー。呉、津、有明など全国7カ所に造船所を展開し、年間建造量は専業大手の今治造船(愛媛県今治市)に次いで業界2番手。

 元々、IHIMUはIHIの造船部門が住友重機械工業の艦艇建造部門を吸収合併した経緯があり、JMU関係者は「当社は事実上、造船大手4社が統合した会社だ」と話す。これによって強化されたのが研究・開発部門。開発部門の要員は「1000人に達し(業界最大規模の陣容を誇っていた)三菱重工に肩を並べた」と関係者は胸を張る。

 造船業界はこれまで各社が主力の船種としてきたバラ積み貨物船が中国経済の急落を受けて需要が急減しているが、こうした開発力の強化は新たな船種の開発、商品化につながり、新たな需要の開拓にもつながっている。こうした中、JMUでは造船所ごとに建造する船種を絞り込み、得意とする船種が建造できる体制作りの構築を急いでいる。具体的には津事業所(三重県)はLNG(液化天然ガス)運搬船、呉事業所(広島県)は20フィートコンテナ換算で1万4000個積みの大型コンテナ船、有明事業所(熊本県)は、自動車運搬船や大型タンカー、舞鶴事業所(京都府)が中型タンカーや中型のバラ積み船といった具合だ。

 中でもLNG運搬船は元々、IHIが独自開発したSPB(角型タンク)方式によるもので、これまでに2隻建造しているが、頓挫していた。このほど、東京ガス向けに4隻受注、これを機にモス(球形タンク)方式がほぼ独占していたLNG船市場へ再参入を目指す。また呉では日本郵船などから同1万4000個積み大型コンテナ船を15隻受注したのを機に2018年末までの連続建造を予定している。

 これに合わせて呉では久方ぶりの設備投資も実施する。設備投資の内容は2号ドック脇に国内最大級の吊り揚げ能力400トンのタワークレーンの新設や塗装工場の増設などで、これによって同工場の建造能力は、年3・5隻から5隻に引き上げる。

 また有明事業所では車両7500台積みの自動車運搬船を4隻、川崎汽船などから受注、VLCC(20万重量トン以上の大型タンカー)に加えて連続建造する体制(このうち2隻は日立造船系列の内海造船に建造委託する予定)を敷く。有明でも昨年までに塗装工場を増設、新しい船種の建造に対応した体制を構築している。

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