日本の「当たり前」が世界で売れる

こんな日本の当たり前がウケる


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ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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こんな日本の当たり前がウケる
地域の信頼を得てビジネスを軌道に乗せる ヤクルト
素材の味を活かし、食文化に入り込む アサヒビール

地域の信頼を得てビジネスを軌道に乗せる ヤクルト

 常夏の都市ホーチミン市では、白い帽子を被ったヤクルトレディ70人が、炎天下の住宅街をカートで1軒1軒回っている。2008年にベトナムで販売を開始したヤクルトは、目下、きめ細かな販売チャネル作りを行っている。販売本数が対前年比30%前後の伸びを示し、海外事業の成長エンジンとなっている中国やインドネシア等でも、彼女たちのネットワークが業績を大きく左右する。

 新規市場に参入する際、大手飲料メーカーはテレビCMなどでイメージ戦略を打ち出すが、ヤクルトは半世紀前に生み出したヤクルトレディによる宅配を今も販売戦略の軸に据える。というのも、日本では馴染みある乳酸菌飲料も、海外には「乳なのに何で白くないの?」、「酸や菌を飲むの?」と驚く消費者も少なくない。だからこそ短いCMでは伝えきれない、丁寧な商品説明が必要なのだ。

 彼女たちの多くが主婦であるのにも、理由がある。「どこの国や地域であろうと、自らの体験を交えながら商品の紹介ができるのは、一家の健康を預かる主婦だからこそ」とヤクルト本社取締役の成田裕氏は、海外でも変わらずこの販売手法に重きを置く。「ご近所付き合いの良い人が商品を売ると信頼感が増すため、コミュニティの繋がりが強い地域では長を務める奥さんにお願いすることもある」(成田氏)と地域性に根ざしたネットワーク作りに気を配る。

 ちなみに、プライバシーを重んじる欧州では宅配サービスには難があると言う。ヤクルトレディは、日本のように顔の見える関係を保ち、地域社会に入っていける環境があって初めて成立する。その点、成長著しいアジアを見渡せば、コミュニティは残っており、彼女たちのネットワークもまだまだ広がりそうだ。

素材の味を活かし、食文化に入り込む アサヒビール

 アサヒビールの主力商品と言えば、もちろんビール。そんなアサヒが、中国で牛乳を販売しているのをご存知だろうか。

中国で販売されている、成分無調整牛乳「唯品(ウェイピン)」
写真提供:アサヒビール株式会社

 その名も「唯品(ウェイピン)」。日本では当たり前の成分無調整・チルド流通の牛乳だが、中国で一般的に飲まれている牛乳は、高温殺菌したLL(ロングライフ)牛乳という、常温保存のものがほとんどである。つまり、「冷たくても飲める」牛乳は非常に珍しい。しかも価格は市場の2~3倍。しかし、この牛乳が都市部を中心とする、安全・安心志向の高い富裕層を中心にウケているという。

 元々ビールで中国進出を果たしていたアサヒビールに舞い込んできたのは、「中国で農業の事業モデルを示してほしい」という山東省書記からの依頼だった。そこで06年5月に、住友化学、伊藤忠と共同で『山東朝日緑源農業高新技術有限公司』(以下『朝日緑源』)を設立。安全でおいしい農作物を中国で販売し、中国の食生活を向上させることなどを目標に掲げている。

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