ネルソン・コラム From ワシントンD.C.

2010年4月27日

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クリス・ネルソン (Christpher Nelson)

政治ジャーナリスト

アメリカのシンクタンク「サミュエル・インターナショナル・アソシエイツ」所属。特に日本、中国・台湾、朝鮮半島問題に焦点を当てたアジア外交政策のコンサルタント。1970年より下院外交委アジア小委員会のスタッフや上院民主党政策委員会のアジア政策顧問などを歴任した経験により、議会のみならず米政権の内情に詳しい。現在は、外交政策や通商問題のインサイダー情報誌「The Nelson Report」発行。

  ホラー映画にハッピーエンディングはない。あったらそもそもホラー映画ではない。
  そんなことを言うのは、鳩山首相を見る目がワシントンでも東京と同様に、このところますます「自作自演ホラー映画の主演俳優」だと、だからその終わり方も、鳩山氏の政治的死で閉幕するんだろうと、そんなふうなものになっているからだ。
  ただし、ハトヤマ映画の筋書きにはちょっとした変更があり得る。皮肉とも、不幸中の幸いとも言えるものだが、米国側の政策要求に関する限り、もしかしたらハッピーエンディングになるかもしれないという可能性だ。その場合でも鳩山氏自身何らかの「犠牲」を支払うことが求められるだろう。

現行案復帰の噂が聞こえてきた途端…

 とこんなふうにキーボードへ打ち込み始めたところ、ひとつ噂に接した。

 沖縄・普天間基地をめぐる進退窮まった状況は、民主党政府全体の政策的・実践的弱体ぶりを象徴するものだったけれど、結局この問題に関し、鳩山首相は「辺野古オプション」を採用することに決め、それを在東京米国大使ルース氏に伝達したという噂である。

 これが本当なら、日本の内政危機は次の段階に入り、新たな課題に当面することとなろう(と、書くや否や、鳩山氏と岡田外相がこれを否定したという別の話が出た。筋書きはいよいよもってホラー映画的になってきたかもしれない)。

 ともあれ米国側が日本に要求してきたのは詰まるところ、「何かプランをもってきてくれ」ということだった。「どんなプランでもいいが、とにかく教えてほしい。でも当方に承諾させたいなら、細部をきちんと詰めてきてくれ」だったわけである。

「言わぬが花」が米側の姿勢

 カート・キャンベル国務次官補が予定の訪日を「キャンセル」する、しないといった話があった(実際には予定通り)のも、ルース大使が普天間をめぐって日本政府代表者と会うのを「拒否」しているなどといった話が聞こえてきたのも、こんな要求が米側から出ていた事情に照らしてこそ初めて理解できる。

 ここらあたり、米国側政府関係者と話して理解できたところによると、米国は当分の間、何一つ言わぬが花と感じている。

 さもないと「米側も日本政府の案を受け入れた」などと受け取られた日には、批判の矛先が鳩山総理だけでなく米国にも向かってくるのを恐れるからだ。だから、沖縄の指導者たちを含む全員が「これでいい」というまとまった案が日本側から出てこない限り、何も言うまいと決めているわけである。

 その案は、何も出てこない。しかし本欄読者は既にご存知のとおり、沖縄であれだけ大規模集会があって、民主党政権と鳩山氏本人がしでかした政治的失敗の深さは、全世界に対し白日の下にさらされてしまった。もはや何をやっても自分に跳ね返ってくる。そうとしか見えないところに、鳩山氏は立たされている。

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