前向きに読み解く経済の裏側

2017年4月10日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 公共投資というと、「無駄な道路を作るために税金を使い、しかも景気も回復しない」と考えている人が少なくないようですが、筆者はそうは思っていません。今回は、公共投資の意義について考えてみましょう。

(iStock)

利用価値の小さい道路も多いが、必要な補修も必要な道路も多数

 公共投資と言うと、山奥に立派な道路を作るような「無駄」を想像する人も多いと思いますが、必要な道路や橋も多数作られています。最近では、高度成長期に大量に作られた道路や橋が耐用年数を過ぎつつ有り、その補修や補強だけでも莫大なニーズがあります。

 問題は、どうやって「無駄」な公共投資を減らして必要な公共投資を増やしていくか、でしょう。これは、「田舎の衰退を止めるために、田舎に道路等を作る」のか、「田舎の人に頼んで都会に移住してもらう」のか、といった大きな価値観の問題が背景にあるので難しいでしょうが、効率を考えれば後者が良いに決まっています。あとは、「生まれ育った場所を離れたくない」という田舎の人々の希望をかなえるために、都会の人々がどれだけ「自分たちの税金を使ってあげよう」と考えるのか、という問題でしょう。

 高度成長期なら、税収が急激に増えていたので、政治家が地元に立派な道路を作る事も容易でした。人口も増えていたので「国土の均衡ある発展」を目指す事も可能でした。しかし、これからは人口が減っていき、税収も伸びない中で、何を優先するのか、政治家も国民も真剣に考える必要があるでしょう。

景気対策としての有効性が落ちている?

 公共投資には、必要な橋や道路を作るという機能以外にも、景気を回復させるという機能があります。一石二鳥を狙った政策なわけです。問題は、バブル崩壊後に巨額の公共投資を行っても景気が回復しなかったため、「公共投資の景気回復効果が落ちた」と考える人が増え、「公共投資は無駄だ」という人も増えてしまったという事です。

 これは残念なことです。あれだけ大きなバブルが崩壊したのですから、公共投資を行なわなければ大不況になっていたはずの所、公共投資のおかげで、あの程度の不況で済んだのです。そこをしっかり認識する必要があります。理科系であれば、実験室の中でバブル崩壊を何度も引き起こし、公共投資を行った場合と行なわなかった場合の結果を比較することで公共投資の効果を測定することができるのかも知れませんが、実際の生きた経済では、それができないので、人々は「公共投資がなければ何が起きていたのか」、をなかなか想像できないのです。

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