ちょいとお江戸の読み解き散歩 「ひととき」より

2017年4月28日

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牧野健太郎(読み解き) (まきの けんたろう)

ボストン美術館と共同制作した浮世絵デジタル化プロジェクト(特別協賛/第一興商)の日本側責任者。公益社団法人日本ユネスコ協会連盟評議委員・NHKプロモーション プロデューサー。浅草「アミューズミュージアム」にてお江戸にタイムスリップするような「浮世絵ナイト」が好評。

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近藤俊子(構成/文) (こんどう としこ)

編集者。元婦人画報社にて男性ファッション誌『メンズクラブ』、女性誌『婦人画報』の編集に携わる。現在は、雑誌、単行本、PRリリースなどにおいて、主にライフスタイル、カルチャーの分野に関わる。

[執筆記事]

 空に凧(たこ)があがっています。羽根つきの羽根が飛んでいます。雪の富士山がすっきりと描かれているこの場所は……?

歌川広重「名所江戸百景 山下町日比谷外さくら田」
Photograph © 2016 Museum of Fine Arts, Boston. All rights reserved.
William Sturgis, Bigelow Collection, 1911 11_35837
①(左)、⑨(右)

お江戸のお正月「松・竹・梅」

 お江戸でも真ん中辺り「名所江戸百景 山下町日比谷外(やましたちょうひびやそと)さくら田」(①)。歌川広重さん(⑨)が安政4年(1857)に描いた、のどかなお江戸のお正月風景です。

 日比谷の山下御門の横にあった御堀越しに、大名屋敷の正門を眺めている絵です。山下町は、今でいうと、銀座の泰明(たいめい)小学校の辺り。そこから東京宝塚劇場と帝国ホテル東京の間を通って日比谷公園に向かう道路とJRが交差する近辺に山下御門がありました。

 正面に見えるのは35万7000石を有する肥前佐賀藩(通称鍋島藩)の上屋敷の赤い御門(②)。立派な表門の左右には門松が飾られ、真ん中にはしめ縄飾りが見えますが、ちょっと見慣れない形のしめ縄です。およそ200年前、鍋島藩は島原の乱のとき、抜け駆けをして手柄をあげたものの、「軍法違反」に問われ、幕府より蟄居(ちっきょ)を命じられます。それが解けたのが寛永15年(1638)の12月29日。お正月の準備など何もしていなかったため、急遽、藩邸内にあった俵をほぐして真ん中を藁(わら)で縛り上げて作ったのが「鼓(つづみ)の胴のしめ縄飾り」だったのです。以降、鍋島藩の幸運の印になったとか。赤い御門の場所は、現在の日比谷公園の噴水が見える日比谷門付近です。

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