◎京都を騒がす天狗、鵺(ぬえ)、猫また。鬼と龍と付喪神が跋扈し、アマテラスは裸馬で疾走、大根の侍が戦う……想像をはるかに超える中世の不思議世界へ再び。
中世の都では奇瑞にせよ凶事にせよ、普段は起きない不思議な出来事や化物、妖怪の登場が、頻発していました。それらは多数の文献に残されています。怪異研究の第一人者として文献を渉猟し続ける西山克が、23の不思議世界を時代背景とともに解説します。
各話の挿話を描くのは、数々の新聞連載小説の挿絵でも定評がある日本画家の北村さゆり。怪しくも美しい絵があなたの想像力をさらに刺激します。造本装幀コンクールを受賞した前作『中世ふしぎ絵巻』と同様の、クルッと回して読むちょっとかわった装丁も魅力的な、大人の絵本としても楽しめる1冊です。
奇の章
鵺の森 カラカラ 猫また 天狗が化けるとき ささやきの橋
龍、飛ぶ 狐狸のいる風景 時を告げる雌鶏 付喪神共同体
願の章
漂流する霊木 蜘蛛の糸 家族の肖像 越えてくる神 帰る神
伝源頼朝像 大根侍 老貴族の夢 騎乗する女神
祟の章
河原院の鬼 地獄の樹 火車 怪異は踊る 死霊の祟り 金輪の恋