WEDGE REPORT

2017年8月4日

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 来日中のケビン・デリオン米カリフォルニア州上院議長(民主党)はこのほど、日本記者クラブで講演、米国のトランプ政権が温暖化対策の新しい枠組みである「パリ協定」からの離脱を決める中で、カルフォルニア州の温暖化対策について「ワシントンは温暖化対策を後戻りしようとしているが、カリフォルニア州はこれまで積み重ねてきた約束を後戻りさせることはなく、努力を倍増しようとしている。2030年までに1990年比較で温暖化ガスを4割減らす目標だ。排出量取引により炭素への依存を減らし、再生可能エネルギー100%を目指す」と強調、気候変動に対する環境対策を進めるリーダーになるとの考えを明らかにした。

(gguy44/iStock)

カリフォルニア州独自で規制を強化

 環境規制に関して連邦レベルと州レベルで異なる規制になっていることについて「連邦とカリフォルニア州は移民、温暖化対策など多くの問題で対立している。このため、州の司法の場に持ち込んで裁判所の判事に判断してもらおうとしている。しかし、連邦政府に関係なく我々は気候変動対策では前進を続ける」と訴えた。

 また、同席したジャクソン上院議員(民主党)は「米国の憲法では連邦政府が一定の基準を設けるが、そこで書かれてないことは州ができることになっている。このため、いま大気の質に関して連邦政府とカ州が戦っているが、連邦政府は法律の下限を決めるが、我々は上限を決める。トランプ政権が続く限りは、こうした連邦と州との緊張関係は続くと思う」と述べ、カ州としてはワシントンで決めた法律を独自の権限で強化していく方針を明らかにした。

 デリオン上院議長は「カリフォルニア州は2003年に施行されたRPS((Renewable Portfolio. Standard))という政策の実行により年間100万トンの二酸化炭素を削減することができた。そのうち25%は排出量取引(キャップ・アンド・トレード)により減らし、残りはエネルギーの効率化、交通部門の電動化、電気自動車(EV)の普及などにより達成できている。排出量取引に関して最初は企業の反対が強かったが、これを導入しないと統制経済になることから関係者に納得してもらい導入が決まった。

 RPSの実現により、カ州は経済成長をしても二酸化炭素の排出が増えないようになり、雇用も増やすことができた。この結果炭素とGDP(国民総生産)を切り離すことができた。この政策は世界的にも関心が高まり、モデルにしようとする動きもある」と政策の成功を評価した。

50万人の雇用増

 「カリフォルニアではすでに50万人の新規雇用が生まれている。エネルギーの効率化、風力太陽光発電など再生可能エネルギーなどによるもので、さらに電力網の脱炭素化が進めばさらなる雇用増が生まれるだろう」と指摘した。同席したウィコフスキー上院議員(民主党)は「EVメーカーのテスラの7月28日の発表によると、新しいモデルのEV生産により、関連工場も含めて1万人の雇用を生み出すという。これはトヨタやホンダに対する良いメッセージにもなる。トヨタ、ホンダを含めて今後7年間で150万台のEVの生産を目指しており、これは市場に対するシグナルになるだろう」と述べ、カ州がEVの生産でも世界をリードする見方を示した。

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