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2010年9月24日

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大型景気刺激策をもってしても内需が一向に盛り上がらない米国。
ギリシャ危機によりユーロ圏内の需要を期待できないドイツ。
いずれも国内雇用維持のため、頼みの綱は「外需」のみ。
自国企業に「通貨安」という武器を与えて援護射撃する。
政府・日銀も9月15日、6年半ぶりとなる為替介入にようやく踏み切った。
しかし、今のところ大きな効果が現れているとは言いがたく、
丸腰の日本企業は、すでに国外脱出を進めている。

 「経済見通しがかなり悪化した場合には、追加金融緩和の用意がある」。8月27日、米ワイオミング州の保養地ジャクソンホールに世界の中央銀行関係者を集めた恒例のシンポジウムで、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長はこう宣言した。

 この日の米株式市場は、追加緩和のニンジンに反応して反発したが、議長の講演はむしろ米景気の二番底に懸念を示したものであることを見逃してはならない。経済の7割を占める個人消費が不調なのだ。その理由は、雇用の先行き不安にある。

 議長はいう。「家計が用心深くなっているのは理解できる。労働市場の回復が著しく遅く、雇用の保障や将来性が不確かで、人々は自信を喪失した」。事実、同日発表された4~6月期の米国内総生産(GDP)は、物価変動を差し引いた実質で前期比年率1.6%増と、7月発表の速報値より0.8ポイント下方修正された。

米国二番底の懸念

 これだけでも不調は明らかだが、GDP発表直前の8月24日に米議会予算局(CBO)が発表した試算を加味すると、事態の深刻さは一層ハッキリする。CBOいわく、米政府が実施した大型の景気刺激策の結果、4~6月期の実質GDPを1.7~4.5%引き上げた可能性があるというのだ。

 修正後の実質GDP成長率は1.6%だったから、景気刺激策の効果を最小と見た場合の1.7%をも下回る。要するに、総額8140億ドルにのぼる景気刺激策がなければ、4~6月期の米経済はマイナス成長に陥っていた公算が大きい。しかも景気刺激策の効果は2010年末にかけ徐々に減衰する。

 バーナンキ議長ならずとも、景気二番底を懸念して当然だろう。実は、CBOの試算には、もうひとつ重要な点がある。それは刺激策で4~6月期の雇用は140万~330万人押し上げられたとしていることだ。無論、08~09年の2年間で836万人失われた雇用は、実際にはそんなに戻っていない。

 非農業部門就業者数の前月比増減をみると、次のようになっている。

 4月=31.3万人増、5月=43.2万人増、6月=17.5万人減、7月=5.4万人減、8月=5.4万人減。5月にかけて増えた雇用が6月以降減ったのは、国勢調査に伴う調査員という臨時雇用がなくなったため。それにしても、140万~330万人の雇用創出効果など、大本営発表もいいところ。

 雇用が厳しいのはほかでもない。景気の先行きが厳しいとみる米企業がリストラの手を緩めていないためだ。毎月の時間当たり賃金(非農業の非管理職)の伸びをみても、4、5月に0.3%だったのが、6、7月は0.1%といった具合に、むしろ鈍化している。

⇒次ページ 製造業の4割が、生産・開発拠点を海外に移転・・・

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