世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年10月20日

»著者プロフィール

 9月19日付のワシントンポスト紙で、同誌コラムニストのイグネイシャスが、トランプ大統領の国連演説は非常にまともなもので安心した、トランプの「ブランド替え」のようにも思えたと述べています。主要点は次の通りです。

(iStock.com/Evgeny Gromov/macrovector/adekvat/painterr)

 過剰なレトリックを除けば、トランプ国連演説の最も驚くべきことは、非常にまともなものだったということだ。人権と民主主義を支持し、ならず者国家を非難し、強い、主権的な国家から成る国際社会を支持した。

 トランプ一流の発言もあった。北朝鮮を厳しく非難し、金正恩を「ロケット・マン」と呼び、彼は自殺行為をしようとしていると述べた。そして北朝鮮が米国や同盟国を攻撃すれば「我々には北朝鮮を壊滅する以外にない」と激しく警告した。それは、今までの米国の核抑止政策を再確認したものだった。トランプは中国とロシアの外交支援に感謝し、もっと協力するよう求めた。イラン核合意は「当惑」だと述べたが、廃棄するとは言わなかった。強硬派の考えを代弁したものだが新たにコミットするようなことは避けた。

 就任演説ではトランプはぶち壊し屋のようだった。今や違う言葉で語っている。ケネディのようなフレーズもあった。演説はミラーが書いたと言われるが、これはミラー2.0のように見える。演説はトランプ新版のように思えた。

 演説はナショナリズムと自己利益を強調した。彼は国際的な共同行動を「グローバリズム」よりも主権と相互主義に基づくものだとした。

 トランプは介入主義者の側面も見せた。北朝鮮とイランを非難しただけでなくキューバやベネズエラのような非民主的なならず者国家も非難した。人権の話までした。リベラルな世界秩序の礎石であるマーシャル・プランへの言及さえ行った。

 トランプの演説を聞いて、自分(イグネイシャス)はトランプが合理主義の枠内で動いていることを知りやや安心した。先週の民主党リーダーであるシューマーやペロシとの超党派のやり取りのようなトーンが見られた。

 これまでの9か月はトランプにとり負けることばかりだった。彼は勝ちたいと思っている。それには極右層だけを相手にしていてはできないことを悟ったものと思われる。特に国連の重要性に何回となく言及した演説は、トランプの「ブランド替え」を見るように思えた。

 トランプ演説で心配なことを強いて言えば、演説が余りに通常のものだったことだ。トランプが北朝鮮対処に成功するためには今までとは違った枠で考えることが必要だ。イランとより良い関係を望むのであれば、イランやその国民とかかわっていくことが必要だ。国連を問題解決の場にするためには米国も国連改革に関与していく必要がある。「偉大な壊し屋」は国際社会を復活したいと言う。そうであれば大統領に是非それをやって見せて貰いたい。

出典:David Ignatius ‘The most surprising thing about Trump’s U.N. speech’ (Washington Post, September 19, 2017)
https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/trumps-strikingly-conventional-un-speech/2017/09/19/876cb41a-9d75-11e7-9c8d-cf053ff30921_story.html?utm_term=.02203f859003

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る